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南宋時代のやきもの

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中国のやきものは1万年以上の歴史を有しますが、南宋時代(1127~1279年)のやきもの「白磁」「砧青磁」「天目」は、アジア全域に輸出され、日本でも茶人好みの磁器としてもてはやされました。


景徳鎮・白磁

景徳鎮は、唐時代に始まった中国江南省にある大窯業地です。良質な土と窯の燃料になる松が豊富であったこと、やきものを搬出する水運が盛んだったことなどから、世界的に有数な陶磁器の産地として発展しました。


北宋時代初期に白磁窯へ脱皮し、北宋時代後期から南宋時代にかけて、銀器を目標にしたシャープで精巧な造形を追求し、青みを帯びた白磁を完成させました。 この青みがかった清爽な白磁は影青(いんちん)とよばれました。

景徳鎮の白磁は、基本的には日用生活器が焼かれましたが、特徴的なものに、梅瓶(口部が小さく肩が張り裾すぼまりの瓶)、瓢形瓶、鳳首瓶などがあり、ほぼアジア全域に輸出されました。



龍泉窯・砧青磁

青磁は、鉄分を含んだ釉薬の還元焼成により、透明感のある青緑色を呈する磁器で、紀元前14世紀頃の中国・殷が起源とされています。南宋時代は、青磁が最盛期で南宋官窯(浙江省)などが名窯として知られています。


官窯の青磁を手本として龍泉県(浙江省)の大窯・渓口・金村などでつくられたのが、粉青(ふんせい)とよばれる白みのある青磁を掛けた「砧青磁」です。

龍泉窯の青磁は秘色と呼ばれ、香炉、鉢、蓋ものなど室内装飾の調度品が多くつくられました。

日本にも南宋時代につくられた独特の色をもつ青磁は最も美しいとされ、砧青磁の優品が多数伝来しました。鳳凰耳、下蕪などの花生や、浮牡丹、千鳥の香炉などが珍重されました。


建窯/吉州窯・天目茶碗

天目茶碗とは、天目釉と呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた陶器製の茶碗のことで、宋時代以後、鉄釉をかけ文様を施した茶碗が茶人の間で珍重されるようになり、盛んに制作されるようになりました。


日本にも伝来した天目茶碗ですが、室町時代に茶の湯の世界でもてはやされたのは、低い小さな高台で、口縁にすっぽん口と呼ばれるくびれのあるすり鉢形の黒釉茶碗で、南宋時代から弦時代にかけて福建省建窯や江西省吉州窯で焼かれました。


建窯の天目茶碗には、「曜変天目」「油滴天目」「禾目天目」などがあり、特に「曜変天目」は黒釉地に浮かび上がる青紫色の斑文が特徴です。 世界に三椀のみ伝わる建窯の曜変天目の中でも、通称、稲葉天目といわれる曜変天目茶碗(静嘉堂文庫美術館所蔵)は、その趣の見事さにより曜変天目茶碗の中でも最高のものとされています。銀青色にきらめく粒状の斑文が、見込みの釉面いっぱいに広がり…その幽玄深い趣が唐物数寄屋者の心を魅了しました。

また、吉州窯産の天目茶碗には、鉄釉と灰釉を二重掛けにした鼈甲風の斑文があり、内側に梅花、鳳凰などをあらわした木の葉文の浅い器などがあります。

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