伝統工芸とは~金工
金工とは
金工(きんこう)とは、金属を使ってつくる工芸品のことを指します。日本では弥生時代以来の長い伝統を有する技法です。
金属は私たちの身の回りにもたくさん存在しますが、金工は、「熱すると溶ける」「たたくと薄くのびて広がる」という金属の特徴をうまくいかしてつくられる工芸品です。
金工に使われる金属には、昔からある五金(金・銀・銅・錫・鉄)と、混ぜて使う合金があります。
合金(合金)の種類
青銅…銅+錫+亜鉛+鉛
赤銅…金+銅
朧銀(四分一銀)…銀+銅(合金における銀の比率が四分の一である事から四分一銀とも呼ばれる)
金工の種類
金工の種類には、溶かした金属を型に入れて形づくる「鋳金」、金属をたたいて形をつくる「鍛金」、形のできあがった金属に模様をつける「彫金」があります。
鋳金(ちゅうきん)
金属が高温で溶けるという性質をいかし、型に流し込んで固めて形をつくることを鋳金といいます。型をつくる作業が最も重要とされ、主に蝋型・惣型・込型という種類があります。
蝋型(ろうがた)…蝋で型をつくったもの
1.蝋を伸ばして作品の原型をつくる。
2.溶けた金属を流し込むための湯口を下につくる。
3.まわりを囲み、鋳型を流し込んで型をつくる。
4.蝋を溶かした型に、金属を流し込んで取り出す。
蝋型では他の型よりも複雑な形をつくることができ、また蝋の滑らかな暖かさを表現することができます。
惣型(そうがた)…砂と土で型をつくったもの
1.板を回転させて、砂と土で型をつくる。
2.土が乾かないうちにヘラで模様をつける。
3.内側に土をつめて隙間に金属を流し込む。
4.型をこわして中の作品を取り出す。
惣型は主に茶道の湯釜や、寺の鐘などをつくるのに使われます。型から取り出した釜は、熱しながら漆やおはぐろなどを塗り、独特の美しい色に仕上がります。
込型(こめがた)…石膏で型をつくったもの
1.まず、粘土で元の形をつくり、その形を写して、石膏で原型をつくる。
2.外型の内側に、金属の厚みの部分の隙間を開け、中型をつくる。
3.焼いて硬くなった型に溶かした金属を流し込む。
4.型をこわして原型の通りの形になった金属を取り出す。
同文様のものが大量につくることができますが、原形よりサイズは若干縮まり、文様は不鮮明となります。
鍛金(たんきん)
金属のたたくと伸びて広がるという特質をいかしたつくり方です。
金属はそのままではかたいので、熱してやわらかくしてたたくという作業を何度も繰り返します。
作品は厚みが薄く、かるくて丈夫という特徴があります。
たたいたことがわからないくらいに滑らかに仕上げたり、たたいた跡をあえて残すことにより、味のある仕上がりにもなります。
鍛金でつくる主な模様には「接合せ」「木目金」があります。
接合せ(はぎあわせ)
パッチワークやストライプのように、ちがう金属の板をくっつけてたたき、形をつくりだしたもの。
木目金(もくめきん)
違う金属の板を重ねて溶接し、はったり削ったりした後にたたき、形をつくる。
彫金(ちょうきん)
金属の表面に鏨という特別な刃先のノミを使って、様々な形の模様を線で彫ったり、掘った部分に別の金属を埋め込んだりするもので、様々な技法があります。
彫り
金属の表面に鏨を使って彫り、いろいろな模様を表現します。V字型の刃先で線を彫る基本の毛彫り、三角形の刃先で連続する細い線を彫る蹴り彫り、鏨の刃先をさらに鋭くして彫る削り彫りなどがあります。
象嵌(ぞうがん)
金属の表面に模様を彫り、別の金属を嵌め込んで、それぞれの金属の色や質感の違いによって模様を表現します。
彫った線に金属を嵌める線象嵌、もようが表面からでっぱらないように嵌めた金属を平らにする平象嵌、表面より高く嵌め込んで模様に高さを付ける高肉象嵌など様々な象嵌技法があります。
打ち出し
金属の板を色々な鏨を使って、表裏の両面から何回も打つことによって立体的な形をつくります。ブローチや着物の帯留めなどにも使われる技法です。
主な金工の人間国宝(重要無形文化財保持者)
角谷一圭(かくたにいっけい)
鹿島一谷(かしまいっこく)
奥山峰石(おくやまほうせき)
大澤光民(おおざわこうみん)
三代 魚住為楽(うおずみいらく)
大角幸枝(おおすみゆきえ)
桂盛仁(かつらもりひと)
香取正彦(かとりまさひこ)
佐々木象堂(ささきしょうどう)
高橋敬典(たかはしけいてん)
高村豊周(たかむらとよちか)
田口壽恒(たぐちとしちか)
玉川宣夫(たまがわのりお)
増田三男(ますだみつお)
中川衛(なかがわまもる)
内藤四郎(ないとうしろう)等
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