万年筆の基礎知識~仕組みと長持ちさせるコツ
「筆記具の王様」といわれる万年筆。 現代のような万年筆の仕組みが完成したのは19世紀後半とされています。それ以前、中世ヨーロッパでは白鳥などの羽根の根元を斜めに切って、先端に切り割りを入れてインクを付けて筆記していました。
17世紀頃から軸内にインクを蓄え、書く時に自動的に流れ出る万年筆らしき筆記用具が模索されてきており、1884年、アメリカ人のウォーターマンが世に出した筆記具がいわゆる「万年筆の元祖」と呼ばれています。
現代のような万年筆の形態が約130年前頃にほぼ確立され、20世紀に入ると高級筆記具の象徴的存在となります。
1960年以降は、ボールペンが普及し、万年筆は筆記具の主流からははずれますが、ペン先の美しい佇まい、独特の書き味やインクの多彩さなどで人気があり、愛好家も世界中に多く存在します。
万年筆の仕組み
万年筆は、インクがインキタンクから引き出され、細かい溝が彫られた「ペン芯」へと伝わり、「ペン先(ニブ)」に供給され、ペン先の裂け目「スリット」部分を伝うことによって、文字を書くことができます。このように万年筆が、紙に軽く触れるとインクが流れて字が書ける仕組みは、サインペンと同様、毛細管現象(毛細管力)を利用しているからです。
万年筆で文字を書くのに重要な部分といわれるのが、ペン先、ペンポイント、ペン芯です。
ペン先の材質
万年筆のペン先の素材には金が使われています。腐食に強い金は、金属の王様であり、ほとんどの万年筆のペン先には14金(約58%の金を含有)か18金(約75%の金を含有)でできており、一般的に金は数字が大きい程柔らかくなるといわれています。
金以外には、ステンレスや合金などを使ったスチールペン先があります。
ペン先の形や素材により、書き味がまったく異なります。万年筆の字幅は大きく分けるとF(細字)、M(中字)、B(太字)の3つが基準となっており、さらにより細いEF(極細)より太いBB(極太)を備えているメーカーもあります。同じ字幅でもメーカーによりかなり違いあり、ペンポイントの状態などにより、字幅に微妙な違いがでるのも万年筆の奥深いところです。
万年筆・インクの吸入方式
万年筆は普段使用しているボールペンとは違い、インクは自分で選び、自分で入れるものです。そのひと手間が万年筆の醍醐味でもあります。万年筆のインクを入れる方式は大きく分けると、カートリッジを装着する「カートリッジ式」と、直接インキ瓶から吸入する「吸入式」、現在主流の「コンバータ/カートリッジ両用式」の3つがあります。
吸入式
古典的な方法で、インクボトルにペン先をすっぽり入れて、尻軸を回転して、軸内部のピストン機構を使ってインクを吸入する方法です。主に高価格帯の万年筆に多い方式です。
カートリッジ式(コンバータ利用不可)
カートリッジインクだけを専用で使う方式です。替え芯のように差し込むだけでインクの補充ができ、スリムで小型な万年筆で多く採用されているので、万年筆初心者や、外出先で万年筆をよく使う方にはおすすめです。
コンバータ/カートリッジ両用式
着脱可能なコンバータ(外付けポンプ)を取り付け、吸引式と同様に扱えるほか、カートリッジインクを取り替えることで、簡単にインク補給ができるという2つの方式を選ぶことができます。
[大切な万年筆を長く使うコツ]
長く使って、自分仕様の万年筆にすることも、万年筆を使う楽しみのひとつです。少しでも長く、愛用するためには、まず、購入したらとにかく使うことです。引き出しにしまったままにせず、なるべく頻繁に、2~3日に一度くらいは使用することが、最もよい万年筆のお手入れ方法・保存法であるといわれています。
その他、直射日光にあたる場所に置かない、万年筆を10分以上使用しないときには、必ずキャップをする、書き味がかわるため、愛用の万年筆を他人には貸さないといったことが、長く使い続けるための秘訣といわれています。また、カートリッジ式の場合、インクのつまりが感じられるようなら、写真のような定期的なお手入れも必要です。
高級万年筆 定番ブランド
MONTBLANC モンブラン(ドイツ)
Pelikan ペリカン(ドイツ)
SAILOR セーラー万年筆(日本)
AURORA アウロラ(イタリア)
S.T. Dupont エス・テー・デュポン(フランス)
PARKER パーカー(イギリス)
Montegrappa モンテグラッパ(イタリア)
WATERMAN ウォーターマン(フランス)
DELTA デルタ(イタリア)
SHEAFFER シェーファー(アメリカ)など
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