高級万年筆~クローネ Krone
クローネ(Krone)は、1997年にロバート・クローネンバーガーによって設立されたアメリカ・シカゴに拠点を置く万年筆など筆記用具を扱う新興ブランドです。
クローネは凝ったデザインや、極端に数量の少ない限定万年筆を発売することで知られ、1本の万年筆の値段が数十万~数百万円する高級万年筆を展開しています。
クローネの万年筆は日本ではあまり知名度はまだありませんが、歴史上の有名人をモデルとしたHistorical Limited Editionと呼ばれるシリーズや、職人技を駆使した Precious Metals Limited Editionと呼ばれる限定シリーズなど、世界的にも一部のコレクターの間で非常に高い人気を誇っています。
クローネという企業は、実は筆記用具専門のメーカーではなく、筆記用具を扱う販売商社です。
クローネのオーナー・ロロバート・クローネンバーガーは、この筆記用具販売商社のほか、テディベアやアメリカンニードル・ハードウェアといった企業を所有する実業家として知られています。
クローネの創業者ロバート・クローネンバーガーは、幼少の頃から有名人のサインや原稿などをコレクションしており、特に初代大統領ジョージ・ワシントンの手紙など、手書きのものに強い関心をもっていたといいます。
また、歴史や英雄にも興味をもち、大統領や陸軍大将宛に手紙を書いたこともあったそうです。書く道具である筆記用具・万年筆にこだわりを持っていたロバート・クローネンバーガーが、ペンビジネスに参入していったのは、自然の成り行きであったともいえます。
このように、筆記具に興味をもち、世界中の限定モデルをコレクションするようになったロバート・クローネンバーガーですが、数年間に及ぶ独自のリサーチの末、筆記具のビジネスに参入することを決め、1997年にクローネを設立しました。
クローネの名は、自らの名のクローネンバーガーに由来するとともに、「王冠」「頂上」も意味しています。そのため、ブランドロゴにも王冠が用いられています。
万年筆ビジネスに参入したロバート・クローネンバーガーがまずテーマに選んだのは、歴史上の人物をモチーフにしたシリーズでした。彼は数々のユニークなアイディアを盛り込んだモデルを考え、イタリアの新興ブランドで職人の手仕事による素晴らしい装飾の限定万年筆を発売していることで知られるマーレンに製造の一部を委託しました。
最初に完成したのが、朱色と黒が混じりあった木目調の限定万年筆「エイブラハム・リンカーン Abraham Lincoln」です。このクローネの限定万年筆は非常に凝ったもので、キャップ頭部には、リンカーンの頭髪から抽出したDNAが封入されています。
その後のHistorical Limited Editionでは、”シェイクスピア Shakespeare”というイギリスのシェイクスピアの生家の庭に植えられた桑の木の小片を埋め込んだ製品や、”アポロ11号”のアルミホイールの一部や”リンドバーグ”が乗った飛行機の木片などを万年筆の軸に埋めた製品など、こだわりのモデルを矢継ぎ早に発表して注目を集めました。
その他にも、マリリン・モンロー、アインシュタイン、パットン将軍、ライト兄弟、ベーブ・ルースといった歴史上の人物や出来事をテーマした限定万年筆を次々に発売し、その着想の面白さと、優れた装飾性でコレクター達を夢中にさせています。
クローネの限定万年筆では、歴史上の有名人物のシリーズ以外にも、職人技を駆使した限定シリーズ Precious Metals Limited Editionを展開しており、こちらもコレクターには人気です。
例えば、ブルーゴールド Blue Goldと呼ばれるコレクションは、24Kゴールドに熱を加えてブルーに変色させ、その上からラッカー塗装を施した美しいボディーに、キャップの冠にパヴェダイヤモンドがあしらわれたもので、石のクオリティを証明するカードも添えられています。