青海波文様について
青海波文様はエジプトやペルシャをはじめとして世界各地でみられる文様です。
日本でも古くは埴輪の着物のうちにみられますが、意外なことに水を意味する文様として描かれはじめるのは鎌倉時代からとなっております。
平安時代につくられた「青海波」という雅楽の舞曲のための衣装から名付けられたとされており、江戸時代の舞い手の装束にもこの文様が付けられておりました。
そして 「源氏物語」の文中にも「紅葉賀の巻」に源氏が頭の中将と「青海波」を舞う情景がえがかれております。
しかし、平安時代の衣装の文様には「青海波」というものはまだ見つかっておらず、どのような文様であったのかは判っておりません。
この文様は江戸時代の中期に「勘七」という漆工が特殊な刷毛で巧みに描いたことで、世間で彼を「青海勘七」と呼び、いわの美術も買取を行っている茶道具の水指、茶碗、蓋置、香合、菓子器、菓子鉢、蒔絵の塗り物などの工芸品に施す細工の文様として広く普及させたといいます。
(イメージ:東大寺二月堂石段、奈良)
青海波文様が施された作品の例
青海波文様のバリエーション
- ・「牡丹青海波」:青海波に牡丹の組み合わせ
- ・「破れ青海波」:青海波がところどころ破れになっているもの
- ・「青海波紅葉」:紅葉が水面に散った流れを青海波で表した文様
- ・「菊青海波」:菊の花を並べて青海波に見立てた文様
作品の例
- ・「白麻地藤牡丹端雲文様青海波帷子」しろあさじ・ふじぼたん・たんうんもんよう・せいがいは・かたびら(東京国立博物館)右イメージ
- ・「色絵牡丹青海波文皿」江戸時代(東京国立博物館)
- ・「銀青海波紅葉文様摺箔」国立劇場能楽堂
- ・「菊青海波模様唐織」江戸時代、石川県立美術館
その他、青海波の名称
- 「鮫青海波」:鮫のウロコのように点を青海波状に並べた文様
- 「花青海波」:青海波の形を花でかたどったもの