立涌文様~日本の伝統文様その8~
立涌は「たちわく」とも呼ばれ、水蒸気がゆらゆらと立ち上ってゆく姿を文様にしたものとされています。平安時代以降は波型の曲線が膨らんだ部分の中に雲や波・藤を入れた雲立涌・波立涌・藤立涌は有職文様として使われ、能装束にも取り入れられました。
立涌文様のバリエーション
- ・立涌:波様の曲線を向かい合わせに並べ、ふくらみとへこみを繰り返す連続文様
- ・雲立涌:立涌のなかに雲を配した文様
- ・波立涌:しぶきを上げる波涛を立涌のなかに配した文様
- ・桐立涌:桐の葉と花を立涌のなかに配した文様
- ・葡萄立涌:立涌のなかに葡萄の実と葉を配した文様
- ・破れ立涌:立涌が切れ切れになり破れ文様になっている文様
立涌文様の作品
「萌黄地桐花菱立涌文様唐織」東京国立博物館
「白地立涌葡萄文様唐織」林原美術館
「紺地破立涌桐雲龍文様縫箔」文化学園服飾博物館
「岩井半四郎」歌川国貞 江戸時代 国立劇場所蔵(羽子板を持つ岩井半四郎の着物に菜の花の立涌文様が描かれています)