雅楽の楽器の種類~その1
雅楽とは
雅楽はおよそ1400年前に中国大陸や朝鮮半島などを経て伝来し、のちに日本古来のものと融合して定着したものです。
音楽ジャンルの中では1000年以上も前に音楽理論、形式がはっきりと定まって、それが今日までほとんど形が変わらずに残っているという意味で、雅楽は世界最古の音楽といえるでしょう。
3~4世紀の古墳時代、6~7世紀の飛鳥時代は、大陸音楽が日本に渡来した時代です。朝鮮・新羅の国から音楽家が独自の音楽とともに楽器を携えて日本に入ってきました。その新羅の音楽家たちのもってきた音楽は単に新羅の音楽に留まらず、中国の唐楽、またインドネシア、ビルマ、チベットなどに起源をもつ音楽も含まれました。これらの音楽が宮廷音楽として受け入れられ、日本に定着していきました。
これらの外来音楽と、日本の古来の音楽とが融合し、7、8世紀には日本独特の雅楽という形式になっていきました。
雅楽は、天皇を中心とする貴族社会の宮廷音楽として、また大寺、大社の儀式音楽として、ほとんど形式を変えず、現代まで伝わってきた稀有な音楽形式なのです。
雅楽の楽器の種類
雅楽には、雅楽だけに使われている独自の楽器群がありますが、大きく管楽器・絃(弦)楽器・打楽器に別けられます。
雅楽では管楽器を吹物(ふきもの)・弦楽器を弾物(ひきもの)・打楽器を打物(うちもの)と呼ぶこともあります。ここでは雅楽の楽器の主なものを紹介していきます。
笙(しょう)
笙は中国、南アジア諸国のみにみられる雅楽の管楽器です。17本の長さの違う竹が並べられ、伝説上野鳳凰が翼を休めている姿になぞらえて鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれます。
中国の笙(Sheng)が伝来したものですが、その祖先はタイやラオスのケーンなどと同じ系統であると考えられています。 17本のうち15本についている「さはり」という金属でできている簧(した・リード)を振動させて音を出します。行きを吸っても吐いて同音程を出すようにつくられており、音を持続的に鳴らし続けることができます。
西洋の管楽器の新しい演奏法「循環呼吸」という、持続させる音の出し方のアイディアを生み出した楽器といわれています。5本、6本同時に音を出し、和音として主旋律にそって変化していき、雅楽独遠くの世界を奏でます。楽器内部の水蒸気を乾かすため、演奏時はつねに楽器を炭火(電熱器)で温めています。
篳篥(ひちりき)
雅楽で使われる管楽器で、18cmほどの短くて細い管に芦(葦)を扁平にした大型のリードをとりつけて吹くものです。 西域で生まれたと考えられ、韓国のピリ、中国の管子も同系の楽器です。それが6世紀に高麗の楽師によって日本に伝わりました。
篳篥の管には表に7つ、裏に2つの指穴が開いており、下にいくほど細くなっています。その小さな楽器に似合わず、約6cmと大きな葦でつくった舌(リード)で音を出します。 いつも舌に適量の湿気を与えていなければ音が出ないのでとても神経を使う楽器です。 音域が1オクターブほどしかありませんが、吹き方によって同じ指使いでも音程の変化や音量も大きく、雅楽の合奏の中でも最も目立つ楽器です。
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