NHK朝の連続テレビ小説で三味線を爪弾く人物が登場したり、ポップミュージックに三味線が取り入れられはじめたりと、津軽三味線や沖縄三線の音色が注目を集めたことから、新たに三味線を始める方が増えてきました。
そのため、三味線の買い取りを強化する専門店も増えています。あなたがお持ちの三味線を手放すことがあるなら、専門店に買い取りを依頼してみてはいかがでしょうか。
多くの伝統和楽器と同様に、三味線には楽器としての価値の他に、骨董品的価値も存在します。そして三味線の価値は、使用されている素材や活用されている製造技法、細かなパーツや加工方法の差などによって、大きく変化します。
まず三味線の棹（さお）部分についてですが、太さにより細棹、中棹、太棹に別れます。ただし太さは用途（小唄、義太夫など）によって異なるもので、買取価格にはあまり影響しません。
大きな影響を与えるのは、棹の材質です。一般的に棹に使用される材は花梨（カリン）、紫檀（シタン）、紅木（コウキ）ですが、音質や材質の貴重さから紅木は高級品とされています。紅木は日本では採取できず、インドなどからの輸入に頼っていますが、海外でも採取量が減少しており、ワシントン条約による輸出入に制限が課せられました。そのため、現在では買取相場が上がっています。
紅木には、トチと呼ばれる紅木独特の模様が美しく浮いているものと、浮いていないものがあり、高級品とされるものが前者です。インドや東南アジア産の紅木にはトチが多く出やすく、アフリカ産のものはトチがないため価格は安価になります。
また、高品質なものは、ホゾという棹のつなぎ目部分に金の細工が施されており、これを金細（きんほぞ）と呼びます。紅木で金細の棹は、プロの演奏家も使用する最高級品です。
皮が張られた胴体部分は、外観ではなく皮に隠された内部の細工により値段が変化します。
平な木材で作られ、エッジの部分を丸く削る加工のみが施された一般的な銅を丸打と呼びます。丸打ではなく、木材表面部分にギザギザの彫り込みが多数入れられたものは綾杉（綾杉彫）と呼ばれ、価値が高い加工です。
すでに皮が貼られた状態で購入した三味線の場合は、内部が丸打か綾杉かが分かりません。しかし皮自体は消耗品であり、使用しているうちに張り替える場合もあるため、皮の張り替え時に内部を確認しておきましょう。
また、銅から棹を取り外した状態で棹の差込部から内部をのぞくことで、確認しやすいとはいえませんが、皮を張り替えずに内部を確認することが可能です。
棹、胴、皮の他には、バチも素材により価値が変化します。プラスチック製や木製のものは主に練習用、初心者用で安価です。中級者以上用にはべっ甲製や、高級品として水牛（角）、象牙製が使われます。
水牛、象牙はワシントン条約により輸入することができない材のため高価格ですが、特に音が良くなるということはありません。高価格の理由は希少性のため、音質にこだわる場合は無理をして購入する必要はないでしょう。
その他、糸巻きや弦、調子笛などは消耗品なため、あまり売却価格に影響を与えません。そのため購入する際も、手触りや使いやすさ、価格の安さなどで自由に選択しても問題はありません。
三味線は和楽器であると同時に、伝統工芸品としての特徴も持っており、素材や加工により大きな価格差があります。そのため、あまり知識のない初心者が高級品を買わされるといったトラブルも発生しています。
また買い取りの際に知識がないと、安く買いたたかれてしまうこともあるかもしれません。適正な価格で評価してもらうためにも、正しい知識を持った、信頼のおける専門店での売買がおすすめです。
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