古伊万里・蕎麦猪口~骨董品豆知識
猪口(ちょこ)は酒を飲む小さな器のことをさし、蕎麦猪口は蕎麦をそば汁につけるための器物のことをいいます。
蕎麦猪口の形は高台から口縁にかけての立ち上がりが真っ直ぐな、逆台形というシンプルなものですが、古伊万里の収集家の間でコレクターズアイテムとして最も人気のある器として知られています。
時代ごとの蕎麦猪口の形の特徴
蕎麦猪口は江戸時代前期に佐賀県の伊万里で焼かれたのがはじまりと伝わっており、当時の蕎麦猪口は向付として使われていたようです。
蕎麦猪口は真っ直ぐなラインで単純な形状ですが、専門家によれば、時代により若干形が異なり、それぞれ下記のような特徴を持っています。
江戸時代初期~前期…形は下が小さく上の方が大きい逆円錐形。上げ底で、やや重い造りが多いといわれる。
江戸時代中期…やや下の方が大きくなったが、まだ逆円錐形を保っている。底は薄くなり、18世紀中頃から、有田以外でも蕎麦猪口がつくられるようになる。
江戸時代後期…形は円筒形に近く、底はさらに薄くなり、真ん中がへこんでいる。
明治時代…ヨーロッパで発明された合成呉須の染付が入ってきたことにより、鮮やかな藍色をした蕎麦猪口が増える。
蕎麦猪口の高台の特徴
江戸時代初期~前期…高台が高く、肉厚の底が特徴。底全体に釉薬が塗られている。
江戸時代中期…底のつくりは薄くなり、底全体に釉薬が塗られている。
江戸時代後期…底の中央がへこんでいて、真ん中の部分にだけ釉薬が塗られている。
明治時代…底の中心に蛇の目高台があるが、釉薬は塗られていない。
主な蕎麦猪口の文様
蕎麦猪口の形は単純で、安価で手軽につくれることもあり、その文様の数は数千とも数万ともいわれています。江戸時代など古い時代につくられた蕎麦猪口のデザインをみることで、その時代の日本人がいかに身近なものや動植物、風景、風物を意匠として取り込んだかを知ることができます。
人物文様…中国人文、唐子文、農夫文、蓑に田植え文
動物文様…鹿文、馬文
植物文様…菊花文、アサガオ文、草花文
連続文様…帆掛船文、瓢箪文
吉祥文様…龍泉、稲刈文 等
その他、秋草に玉露と笹文が施された窓絵文様などがあります。
古伊万里・蕎麦猪口の買取について
骨董品コレクターに人気の古伊万里の蕎麦猪口ですが、贋作が多いことでも知られています。汚れや擦り傷を故意につけて古く見せようとするなど、古伊万里の蕎麦猪口の贋作の中には極めて巧妙なものがあるので注意が必要であり、本物を見極めるには目利きが必要です。
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