弊社でお問い合わせが多い骨董品の一つ「掛軸」。
その種類や用途を今回はご紹介致します!
掛軸とは
最近では住宅事情が大きく変化し、床の間がないお宅も増えましたが、ひと昔前の日本の家には大抵どのお宅にも設えられていた床の間。その壁面に鑑賞用として掛けられた、布や紙に書や絵を貼ったものを掛軸と呼び、床の間に掛けたことから「床掛け」とも呼ばれます。
掛軸の歴史は古く、すでに飛鳥時代には仏画として日本に入ってきたと言われていますが、掛け軸が広く広まっていったのは、鎌倉時代後期に禅宗の影響と水墨画が流行ったからとも言われているようです。
伝来当初は仏画としての意味合いが強かった掛軸ですが、徐々に芸術性が高まり、室町時代頃に茶の湯文化が花開くと、お茶の世界では「掛物(かけもの)」と呼ばれ、欠くことの出来ない大事な道具の一つと捉えられるようになりました。
掛軸にはお茶事の席では亭主からの、お稽古場であれば先生からのその日のメッセージが込められており、「一期一会」や「日々是好日」などといった、茶道の根底にある禅の思想を表わした「禅語」が墨字で書かれたものや、季節の絵が描かれたものが掛けられ、客人をもてなします。
茶の湯文化の発展とともに掛軸はますますその芸術性を高めていったのです。
掛軸の種類
掛軸は大きく分けるとまず2つに分けられます。
「床掛け」…床の間に掛ける掛軸。
「仏壇の掛け軸」…仏壇の中に掛ける掛軸。
■床掛の種類
用途別に種類分けすると下記のように分かれます。
「祝儀掛け」…結婚、結納、正月などお祝い事やおめでたい日に掛ける。
【図柄】松・竹・梅、鶴亀、旭日、高砂など
「節句掛け」…桃の節句、端午の節句など節句に合わせて掛ける。
【図柄】お雛様、桃、兜、虎など
「花鳥画」… 日常生活に掛けるのに相応しい柄です。
季節の花や鳥が描かれたものは季節感を表わしてくれます。
【図柄】春…桃、梅、鶯、桜、など 夏…紫 陽花、朝顔、金魚、滝など
秋…栗、柿、紅葉、落ち葉など 冬…南天、水仙、牡丹、雪景色など
「動物画」…動物の力強さにあやかり、子どもの成長祈願や選挙当選祝いなどに好まれます。
【図柄】虎・龍・鯉・鶴・雀など
「山水画」…山や川を描いた上品な図柄。季節を問わず主張し過ぎないので、
どんなお部屋にも馴染みやすく、また年中掛けておくことも出来る万能選手的存在
な掛軸と言えるかもしれません。
「神仏画」…神事や仏事などの時に飾る。仏事に仏様や菩薩様を描いた「仏画」が飾られますが、
「仏画」は仏事のみならず、家を守って頂く意味合いで飾られる場合もあり、
仏像と同じ扱いをされることもあります。
このように、細かくみてまいりますと、掛軸は種類が色々と細かく分かれており、用途によって掛ける柄が変わってまいります。昔から日本人は季節を愛で、自然をモチーフにしたデザインを生活の中に散りばめ、神を敬いながら暮らしてきました。慌ただしい現代社会ではありますが、ふと掛軸に目を留める心の余裕も必要かもしれません。
この記事に目を留めて頂いた皆様が掛軸について少し興味を持って頂けると幸いです。
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よろしかったらそちらもご一読ください。
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