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掛け軸の取り扱い方法は?掛け軸の正しいお手入れ・保管方法

掛け軸の取り扱い方法は?掛け軸の正しいお手入れ・保管方法

礼拝目的で飛鳥時代に中国から伝わったとされる掛け軸。鎌倉時代に禅宗の影響で水墨画が流行するようになると、芸術品として鑑賞されるようになりました。

後に千利休の影響により掛け軸は茶道に欠かせないものとされ、現在では日本の伝統として受け継がれています。


近年は住宅事情の影響で掛け軸を掛ける床の間も激減し、額装が多くなっているなどの変化もあります。そのため、家族から掛け軸を受け継ぐ機会があっても飾る場所がなく、保管方法も分からずに持て余している方もいるのではないでしょうか。

また、床の間のある家に引っ越して掛け軸を飾ってはみたものの、今まで掛け軸に馴染みがなかったためお手入れの方法が分からない方もいるかもしれません。


そこで今回は、掛け軸のお手入れや保管方法についてご紹介します。



掛け軸の基本的な取り扱い方法

掛け軸は「息をしている」といわれることがあります。和紙が空気中の湿気を吸収したり、吐き出したりしているためです。そのため、高温多湿や直射日光は避けましょう。冷暖房の空気が強く吹き付ける場所も、掛け軸を飾る、保管する場所としては不向きです。


特に気を付けたいポイントは湿気です。濡れた手で触らないようにしましょう。掛け軸のそばに花を活けることもあると思いますが、花粉や水滴が掛け軸に付かないように、花を掛け軸から少し離れた場所に置くなど注意が必要です。

また、掛け軸を長期間掛けたままにすると、湿気による反りや汚れ、日焼け、シミの原因にもなるため、3日に一度外し、巻いて休めることが大切です。


掛け軸の掛け方

畳の上に湿気がないことを確認した上、掛け軸を軸箱から出して畳に軸を置きます。巻緒(掛け軸の外側に巻かれたひも)を解いて天の部分(掛け軸上部)まで広げ、風帯を下に伸ばします。折れ癖がある場合は直しましょう。


最初に矢筈(踏み台を使わずに掛け軸を掛ける道具)に掛け緒を掛けます。次に片手で矢筈、もう一方の手で掛け軸を持って掛け緒を壁の釘に掛けたら、両手を使ってゆっくりと掛け軸を垂れ下ろしましょう。

巻癖が付いている場合は、軽くひと巻程度逆巻きにして直しましょう。掛け終わったら、離れた場所から高さや左右のバランスなどを点検してください。釘が高すぎる場合は自在掛を利用すると良いでしょう。


作業中は掛け軸が脱落する可能性を考え、掛け軸の下に花瓶や置物などを置かないようにすることをおすすめします。



掛け軸の外し方

掛け軸を外すときは、掛け軸を傷めないよう気を付けましょう。外す前に、まず柔らかい羽ぼうきでホコリを払います。

次に、掛け軸を胸の高さまで持ち上げて緩めに巻きます。巻き終えた後、緩みを取るようにしっかりと巻きましょう。


次に、片手で掛け軸、もう一方の手で矢筈を持ち、掛け緒に掛けます。金具から掛け緒を外したら、矢筈は外さずに掛け緒に掛けたまま掛け軸を下に向け、その後に矢筈を外してください。

そして掛け軸の表面(絵側)が自分の方に向くようにして巻き上げます。裏面を自分に向けて巻き上げると掛け軸が折れることがあるため、注意してください。


掛け軸の保管方法

掛け軸は桐箱に収納することをおすすめします。軽くて美しい桐箱は、掛け軸の天敵である湿気から掛け軸を守ってくれます。

通常の桐箱の他、外箱に漆が塗られた「二重箱」や、付属の太巻き芯に掛け軸を巻き付けて保管することのできる「太巻き芯付き桐箱」もあります。

収納時は、薄い和紙(揉紙)などで包み、幅の厚い方に八双が来るように桐箱の中に入れましょう。表具用の防虫香も忘れずに収納するよう注意が必要です。

また、濡れた手で触れたり、雨の日に湿気を含んだまま収納したりすると、桐箱の中にカビが生えることもあるため注意しましょう。


おわりに

大切な掛け軸は、湿気に十分気を付け、3日に一度掛け替えて休めましょう。掛け軸を休ませることによって、掛け軸をより長く楽しむことができます。また、掛け替えは湿度や天気を考慮しながら行いましょう。


「いわの美術」では、この他にも骨董品や古美術品に関するコラムを掲載しています。他のコラムもぜひご覧ください。

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