カメオとは、宝石に凸型に彫刻を浮彫りしたもので、古代ギリシャで発達した装飾技法です。語源はラテン語のcammaeusとされています。
凸型の浮彫りされたものがカメオ(Cameo)と呼ばれるのに対し、凹型に沈み彫りされたものはインタリオ(Intaglio)と呼ばれます。
歴史あるカメオは、ナポレオン皇帝や、イギリス・ヴィクトリ女王などにも愛されてきました。
カメオの種類は、メノウなどを使ったストーン・カメオと、それ以外の貝殻を用いたシェル・カメオの2種類が一般的ですが、その他ラヴァ(ヴェスビオ山の堆積物)、象牙、アメジスト、エメラルド、オパール、サファイア、トルコ石、サンゴ、ラピスラズリ、ジェット(木の化石・黒色)など、素材は多岐にわたります。
カメオを見極めるために必要なもの
ここでは、鑑定士によるストーン・カメオ、シェル・カメオの大まかな見極め方を紹介します。
カメオなど宝飾品など見極めに必携なのが、倍率が10倍以上のルーペと懐中電灯です。
倍率20倍以上のルーペは詳細にみえますが、見える範囲が小さくなりすぎるので、使いこなすには経験を要します。明るい光の下で、ルーペを使ってカメオの装飾やキズ、石取れ、修正箇所がないかなどチェックします。
ストーン・カメオを手に取ったら、最初に裏側から光をあてます。懐中電灯などで光を裏側から当てると、オニキス以外のメノウ、アメジスト、水晶、ルビー、エメラルドなどは、中のインクルージョン(内包物)やヒビが透けて浮き上がってみえます。
メノウ以外のストーンを使ったカメオの場合、インクルージョンがあることは通常であり、それがあることによって価値が下がるというものではありません。ただし、肉眼で表面などの目立つところにキズやヒビがある場合は評価がおちます。
カメオに使われる黒いメノウは、光りを通さないものはオニキス、光を透かすと茶色や赤くみえるものはカーネリアンです。積層メノウは光りを通すと80%ほどは二層目の背景色のところに、ヒビやインクルージョンの線などがみえます。この線から、落下した際などに破損する可能性が高いため、評価が下がるといわれています。
次にルーペを使い、浮彫り部分を丁寧にチェックし、ヒビやカケなどがないかどうか点検します。よくある破損は、カメオに彫られた女性の顔の髪の毛の飾りの花、葉、冠などにみられます。また、顔の破損、鼻の先端が欠けている、指先が欠けているなどがあげられます。ストーン・カメオの小さな欠けは削り直すことができますが、破損の大きいものは避けるのが妥当です。
アンティーク・カメオの場合、最後に、カメオに使われたフレームがオリジナルかどうかを点検します。19世紀はナポレオンが古代カメオの復興に力を入れたことをきっかけにカメオブームがおき、ヴィクトリア女王もカメオを愛用しました。彫り上がるまでに時間を要したカメオは現代のものより、遥かに高価であったため、偽物が多く出回りました。(偽物のカメオとは、本物のストーン・カメオから型を取り、白などのガラスを流し込んで、それをメノウに張りつけたものをいいます。)
こうした貼り付けの偽物品を判別しやすくするため、19世紀カメオのオリジナルフレームには覆輪留め、爪留めなどが用いられています。このオリジナルフレームは、カメオが抜け落ちない構造になっており、積層メノウが側面からみやすくなっています。側面からみるとガラスとメノウの貼り付けかどうかの真贋が判別できるといわれています。 カメオに別のフレームを後から組み合わせていた場合、サイズが合わず抜け落ちる可能性もあり、オリジナルフレームかどうかも、カメオの価値を決める重要な判断材料となります。
フレームは、爪が折れていないか、留め具や針が交換されていないか、チェーンを通すための輪の部分であるバチ環が失われていないか、フレームにダイヤモンドやパールが付いている場合はそうした宝石が取れていないか、フランスのカメオの場合は、張や留め具に刻印が打たれているかどうかも確認します。
ストーン・カメオは硬度7と硬いため、ほとんど摩耗することがないのに対し、シェル・カメオは長い年月を経ているため、摩耗していることも少なくないといわれています。 この摩耗度合もカメオの価値の判断材料となるので、まずは肉眼で確認します。
正面彫りの場合、鼻が欠けていたり、摩耗していることが多いので注意が必要です。また、全身像をモチーフとするカメオは、顔の比率が横顔のモチーフに比べて小さいため、顔がすり減っていることが多くあります。アンティーク・カメオの場合は、いきいきとした写実的表情のものは、評価に値するので、顔の摩耗もしっかりと点検するポイントです。
光りを通す前に、肉眼でもヒビがないかどうかチェックします。その後、裏側から光を当て、シェルにヒビや、ヘアーラインとよばれるストレスがないかなどを確認します。ヘアーラインは、温暖の差などから表面に貝の層が出たもので、ある程度は許容範囲ですが、そのストレスが顔の表面に出ていたり、深く割れているものは避けましょう。 地の部分が割れてしまったために、周囲を切り直し、いびつな形をしているものや、背景の地の部分に染料を塗り、ひび割れを隠しているものもありますので、不自然な形をしていないか注意してみます。染料が塗られている場合は、カメオの裏から光を当てても透かしてみえません。
シェル・カメオは現代でも多くつくられていますが、19世紀のアンティーク・カメオは、長い時間をかけて彫られているので、細部の線が細やかで、近くでみても滑らかに仕上がっているといわれています。20世紀中期以降のシェル・カメオは一見すると細やかにみえますが、手に取ると細部の彫りの仕上げが異なり、目利きがみるとその違いを判別することができます。 また、19世紀のカメオは写実性にあふれ、古代ギリシャの彫像を彷彿とさせるものであり、顔の表情も額から鼻にぬけるラインが斜めに直線に近い形状なのが特長とされています。
フレームも19世紀のオリジナルのものはさらに価値を高めるものです。シェル・カメオのフレームには、金・銀・ピンチベック(銅と亜鉛の合金)、金メッキ、真鍮、ジェット、鼈甲などがあります。 19世紀のカメオのフレームは、金も非常に薄くつくられているため、金か金メッキであるかどうかの判断も難しく、経験を要します。金メッキの場合、経年で擦れて、地金が出ていることが多いので注意深くみるとわかります。また、蝋付けをして修理していることもあるので黒い部分があった際は、確認するようにします。 また、真鍮やピンチベックがフレームの地に使われている場合は、それぞれ独特の鉄のような金属臭があるため、これも判断の材料のひとつとなります。
その他、ジェット、ラヴァ、珊瑚、象牙などのカメオの場合も、シェル・カメオ同様キズや摩耗がないか、フレームの判別をします。
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カメオは、ペンダントやブローチなどに多く使われていますが、その他にもイヤリング、リング、帯留、ループタイ、カフス、タイチェーン、額に入れて飾る作品などもございます。
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