こちらは日本三大桜の1つとして知られる、福島県田村郡三春町にある瀧櫻を描いた木版画です。
瀧櫻は三春滝桜とも呼ばれ、樹齢1000年と言われる枝垂れ桜で国の天然記念物にも指定されました。
昼間の賑わいとは全く異なる夜の静寂に月の光を浴びる神秘的な桜を、佐野せいじが情緒豊かに描いています。
佐野せいじ
佐野せいじは現代を代表する木版画の名匠です。
木版画絵師の井堂雅夫に師事し、日本の四季や故郷など 日本人の誰もが心の中に込めている懐かしく美しい景色を表現してきました。
個展やNHK大河ドラマへの協力、多くの雑誌表紙絵を制作するなど多方面で活躍しています。
佐野せいじの作品はユニセフのグリーティングカードに採用され、ロサンゼルスカウンティ美術館及び米国連邦議会図書館に収蔵されているなど、国際的にも高い評価を受けています。
桜の絵を多く描くようになったのは、1994年に発表した岐阜三大桜『荘川櫻』がきっかけです。
清楚でありながら時には妖艶にも見える桜の様々な姿を、独特の構図と美しいグラデーションの色調で表現しています。
『山高神代櫻』『月華』『春暁の淡墨』『嵐山枝垂桜』など、特に桜の作品は中古市場でも高い需要があります。
後世に残したい日本の美を描く佐野せいじは、今後も益々期待される注目の画家です。
木版画
佐野せいじの木版画は江戸時代から受け継がれている浮世絵の技巧で、版木を1枚1枚手彫りし、版木ごとに色を変えながら手摺りしていきます。
多い時には36版42度摺りという手間をかけて丹念に仕上げ、その中でも佐野せいじが認めた仕上がりの作品だけにエディションナンバーとサインが入り完成です。
機械では表現し得ないアナログ感と、木のぬくもりが伝わるところが木版画の魅力ではないでしょうか。
佐野せいじ以外にも多くの画家が木版画に取り組んでいます。
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