日本刀の特徴を分類した「五箇伝」のひとつで、
他に「山城伝」「大和伝」「美濃伝」「相州伝」があります。
備前伝は備前国(現在の岡山県)で栄えたもので
鎌倉時代後期に繁栄する相州伝の基礎を山城伝と共に築きました。
どの時代も政治の中心地から離れた場所に位置した事、
日本刀の政策に必要不可欠な材料が豊富であった事、
時代の流行を取り入れ、全国の需要に応えた事などの理由から
鎌倉時代中期に五箇伝の中で最も繁栄しました。
鎌倉時代初期に後鳥羽天皇が諸国の有能な刀工12人に刀を打たせ、
「菊の紋」を刻み、側近の武士や公家に与えましたが
この時に選出された刀工の12人中8人が備前の刀工でした。
この事から備前の刀工が極めて高い技術があった事、
そして、その技術が高く評価されていたという事が確認できます。
現在、確認されている日本刀の7割が「備前伝」のもので
それらのほとんどは国宝や重要文化財に指定されています。