日本の小説家。
本名、泉鏡太郎。
1873年、石川県に生まれる。幼いころ、母親を亡くし、生涯母性思慕が続くことになる。
14歳の時に北陸英和学校を中退し、その後17歳で上京し、翌年に尾崎紅葉の門下生となる。
20歳で「冠弥左衛門」を発表し、「夜行巡査」「外科室」で文壇に注目されるようになり、観念小説の作家として認められた。
さらに「照葉狂言」や「高野聖」など神秘的な世界観をもった浪漫的・幻想的な作品を相次いで発表していくにつれ、自然主義派全盛期にあっても評判は高まっていった。
鏡花は江戸戯作の流れをくむ数多くの作品を残したが、幻想的かつ神秘幽玄、鬼気、妖気の雰囲気を醸し出す文章や、女性の伝統的な精神美や形態の美を精緻な描写により、その小説・戯曲は文学界のみならず映画界や演劇界に今なお大きな影響を及ぼしている。またこうした作風は川端康成、石川淳、三島由紀夫らにも影響を与えた。
鏡花生誕100年の1973年には、金沢市は彼の業績をたたえ泉鏡花文学賞を制定した。
1873年 石川県に生まれる。9歳の時に母を亡くし、以来、美をそして美しい女性を崇高
なものとして描くことになる。
1890年 上京。尾崎紅葉の門下生となる。
1893年 京都日出新聞に「冠弥左衛門」を連載。「活人形」「金時計」を発表。
1895年 「夜行巡査」「外科室」を発表し、観念小説作家として認められた。
1896年 郷里の祖母を迎え一家をかまえる。読売新聞に「照葉狂言」を連載。
1900年 「高野聖」を発表。
1907年 「婦系図」を発表。
1919年 「由縁の女」を「婦人画報に」連載。
1939年 最後の小説「縷紅新草(るこうしんそう)」を発表。9月永眠。享年65歳。
『冠弥左衛門』
『夜行巡査』
『外科室』
『照葉狂言』
『高野聖』
『春昼』
『婦系図』
『歌行燈』
『由縁の女』
『縷紅新草』