愛知県出身の昭和時代に活躍した日本画家です。
官展を中心に活躍している事で知られ、戦時中は従軍画家として戦争記録画を制作しており、戦争美術関係の展覧会に数回出品しています。
村松乙彦は色のメリハリがはっきりしている作風で、多くの静物画を残しています。
画家を志した村松乙彦は、はじめは太平洋絵画研究所で油彩画の技法を学んでいました。
その後、日本美術学校日本画科に入学して日本画を学ぶと日本画家としての道を選び卒業してからは児玉希望に師事しました。
児玉希望は大和絵を研究し、西洋絵画の技法を融合させ、水墨画にその境地を見出した日本画界の巨匠で、村松乙彦も師に影響され、油彩画を学んでいた経験から西洋絵画と日本画の融合を独自の観点で導きだし、文展で初入選を果たすとその後も次々と受賞を重ねていきました。
戦時中はフィリピン、ボルネオ、セレベス、シンガポール、マレーシアなどに赴き、海軍報道班員として活動しており、当時はジャーナリズムや言論の自由などが規制されていた時代でもあった事から、村松乙彦の戦争記録画にはジャーナリズム的要素が含まれた作品を見る事ができます。
中でも『輸送船団・船員の敢闘』は、当時の日本軍の行動が分かる作品として高く評価されています。