硯屏(けんびょう)は書画や書道の道具の一つで、硯のそばに立てて風で塵や埃などが硯の中に入らないように防いだり、墨が乾くのを防ぐ役割を持つ小さな衝立の事です。
また、硯を引き立たせるための装飾の役割を持つ硯屏もあり、見事な風景画が描かれたものや緻密な彫刻などの装飾が施されたものがあり、硯屏自体が愛玩の対象となり、コレクターが存在します。
現在では色紙などを飾るための調度品として用いられる事が多くなりました。
このような硯屏が生まれた背景には、もともと塵や埃、墨の乾きを防ぐために使われていた硯屏に、気分転換も兼ねて絵を描いた事が芸術品のような硯屏が生まれるきっかけになったとされています。
そのため、定番の四角形以外にも扇子や楕円の形など様々な種類の硯屏が作られ、素材も陶器、磁器、石、木材などが使われています。
そんな硯屏ですが茶道具の中に硯屏蓋置と呼ばれるものがあり、これは茶の湯が見立ての精神を持っている事が大きく関係しています。
遠州流では硯屏を使った点前が存在し、茶道の中でも硯屏は趣を大切にする道具である事が分かります。