中国の安徽省産の墨の事です。
名墨としてとても有名です。
近年では一般的な墨と区別され、美術品として注目されるようになり、美術収蔵用として様々な形状に文字、彫刻や風景画、花鳥画、色彩などを施して制作されています。
漢の時代には墨丸と呼ばれる円形墨が多く作られました。
「紙に落ちると漆の如き、万載にわたっても鮮明さを失わず」というように、徽墨の付着力の強さは現代のどんな化学法によるインクも及ばないといわれています。
また、墨造りの過程において、麝香、真珠、氷片、樟脳、藤黄、犀角などの貴重な漢方薬が加えられ、艶のある、水に強い耐久性のある墨となり、墨に香りがついているので、墨が虫に喰われにくく、防虫にも役立っています。
徽墨の始まりは、唐の時代に北方の多くの墨職人は戦火を逃れて南の安徽へと移り住みその中の奚氏の一族が今までにない良質の墨を作り出しました。
その墨は瞬く間に有名となり、南唐時代の工程から「墨務官」に任命し、李の姓を与え、一族が作る墨は「李墨」と呼ばれ「黄金は得易く、李墨は得難く」との名言が残るほど絶賛され、現在に至ります。