硯は墨を水で磨りおろすために使用する書道具で、筆、墨、紙と合わせて文房四宝と呼ばれ、中国文人の文房趣味のひとつです。
文房四宝の中でも硯は最も重んじられる存在で、多くの文人に愛でられる対象となっていました。
そのため、骨董的価値が一番高く、中国の古い時代に作られた硯は高値で取引されているものが多く存在し、雲泥の価格の差があるのも硯の特徴です。
硯には中国で作られた唐硯(とうけん)と日本で作られた和硯(わけん)の大きく2つに分類する事ができます。
唐硯には端渓硯(たんけいけいん)、歙州硯(きゅうじゅうけん)、洮河緑石硯(とうかりょくせきけん)、澄泥硯(ちょうでいけん)などが有名で、日本では赤間硯、雄勝硯、玄昌硯、雨畑硯などが知られています。
硯は何の装飾も施されていないものから、緻密な彫刻が見られるものなど多種多用で、愛玩用としても重宝されています。
すでに原料の石が採掘されなくなった貴重な硯もあり、こういった硯は高値で取引されています。
その一方で偽物も多く出回っており、注意が必要なのも硯の特徴です。
硯は鋒鋩というヤスリ部分が立っているものが良いとされており、この鋒鋩にも粗目などの目の細かさが存在します。
鋒鋩が粗い場合、墨が早くおりますがドロリとした墨液になってしまいます。
反対に鋒鋩が細かい場合、磨るまでに時間がかかり、つややかな墨色も出ません。
そのため、作風や墨に合わせて硯を変えて使う人も多く、硯を選ぶ際は試し磨りをして選ぶ人も少なくはありません。
そんな硯ですがしっかりと手入れを行えば半永久的に使用する事ができます。
硯は使っていくごとに表面がツルツルしていきます。
こうなった場合は硯用の砥石で硯面を砥ぎ、鋒鋩を立てる作業を行い、使用後は硯に墨が残らないように必ず水洗いを行う事で使い続ける事ができます。
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