硯箱は硯を収納する箱の事で、硯の他にも筆、墨、水滴など筆記に必要な道具も一緒に収納する事ができます。
主に漆塗で作られているものが多いのですが、木地のまま仕立てられたものも存在し、古くから貴族や武家などの上流階級の調度品として発展していきました。
そのため、文台や料紙箱とお揃いの意匠で豪華に飾られた硯箱が多く存在します。
日本に硯箱が登場したのは奈良時代から平安時代にかけてからだと言われており、平安時代から日常的に使われるようになり、上下2段に分かれた筆架式と左右に懸子(かけご)を付ける懸子式の硯箱など様々な硯箱が作られるようになりました。
この他にも平硯箱、重硯箱、浅硯箱などがあり、裏梨子地、表蒔絵、螺鈿、描金などの装飾が見られ、上手物は美麗を極めています。
そんな硯箱ですが、鎌倉、室町、桃山、江戸と時代を通じて製作が続けられ、現在は実用品から工芸品としての地位を確立し、国宝に指定された作品も多数存在しています。
その中でも本阿弥光悦作の『船橋蒔絵硯箱』は国宝に指定されているもので、甲盛り被せ蓋に蒔絵描金の豪奢な作品として知られています。
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