澄泥硯(ちょうでいけん)は中国で作られている硯の一つで、端渓硯(たんけいけん)、歙州硯(きゅうじゅうけん)、洮河緑石硯(とうがろくせきけん)と合わせて中国では四大名硯と称されています。
澄泥硯には唐・宋の時代に川底などからとれる泥土を焼き固めて作ったものを澄泥硯と言っている焼成硯説と、宋の時代に蘇州近郊の霊巌山付近で採石される「カク村石」で作られた硯である自然石説が存在しています。
これは自然石であるカク村石が澄泥硯によく似た色をしていた事が混同されてしまった原因で、近年では「新澄泥硯」とも呼ばれたりしています。
ただし、焼成の澄泥硯の製法書とするものにはあたかも魔術のような荒唐無稽な製造方法が記されており、現在でも解明されていない部分がありますが、手間と時間をかけて良質な硯として職人たちの手で作られ続けています。
澄泥硯は焼成する砂の違いと焼成呈色によって色調が変わり、その色合いから7種類に分けられています。
最上のものは鱔魚黄澄泥(せんぎょこうちょうでい)という、ベージュのようなくすんだ黄色をしており、その次に良いものとして緑豆砂澄泥(りょくとうしゃちょうでい)という緑色もしくは黒または青混じりの色をしています。
また、澄泥硯は鋒鋩が非常に強く、特に唐墨との相性が良い事で知られています。
そのため、超淡墨や超濃墨での作品制作時に使用するのが最適とされており、硬くて磨りにくかった墨もすらすらと磨れる事から、清代の乾隆皇帝が大変驚き心を奪われたと言われています。
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