荼毘紙(だびし)は写経を書くための料紙の事です。
釈迦の骨粉を混ぜた紙と言われていますが、虫よけのために伽羅や白檀などの香木の粉末を釈迦の骨粉に見立てて漉き込んだ厚手の上質紙に、貝の粉を焼いた胡粉(ごふん)を塗ったものと言われてきました。
しかし、近年の研究ではマユミというニシキギ科の植物の靱皮繊維を原料とした料紙という事が判明しました。
そのため、本来は真弓紙と言うのが正しいのかもしれませんが、表面はザラザラしており、茶毘の灰のように見えるので古来の呼称である荼毘紙と呼ばれています。
荼毘紙はこの他にも香の粉末を煎じた汁と一緒に漉きこんだ「黄荼毘紙」や、白土のような粉末をいれた「白荼毘紙」があります。
奈良時代では写経用の料紙として盛んに作られていましたが、平安時代になると技術の向上により、種類も豊かになりました。
しかし、それ以外の時代ではあまり見られない特殊な料紙としても知られています。
また、国宝である『賢愚経断簡(大聖武)』は荼毘紙に書かれています。