創業年=1869年
創業者=エルンスト・ライツ
創業国=ドイツ
「ライカ」とは、ドイツの光学機器メーカーであったエルンスト・ライツ社のブランドであり、現ライカカメラ社の呼称、もしくは同社製造のカメラ自体を指す。「ライカ」カメラは世界でもっとも有名なカメラブランドでもある。それは世界最高レベルの品質のカメラやレンズを、長年にわたり作り続けてきたという実績に裏付けられたものである。1913年に誕生した「ウル・ライカ(Ur Leica)」を皮切りに、ライカの歴史が始まる。
1869年、顕微鏡メーカーを引き継いだエルンスト・ライツが自分の名前を社名に変更し、カメラ生産に乗り出した。そして1913年、エルンスト・ライツ社のオスカー・バルナックは「ウル・ライカ」の試作品を作る。これは「バルナック型ライカ」と呼ばれており、戦後主流となった35mmフィルムカメラの基本形態を確立し、写真の歴史に大きな影響を与えた。それまで「カメラ」といえば、写真館にしかないような大きな箱型で、大きな乾板という板状の感光板に撮影するものだった。このライカカメラが携帯可能なものとして誕生したわけであり、カメラ界の大きなパラダイムの変化だった。
1923年には、35mmフォーマットのプロトタイプ「0型」25台をテスト用として製造し、その2年後に「ライカⅠ(A型)」が発売された。このカメラによって、一般の写真家たちも直ちに、持ち運びが楽で素早く気軽に撮影できるまったく新しいカメラを使いこなして、芸術性あふれる傑作や人びとの心に訴えかけるルポルタージュ写真を生み始めていった。
戦後になると、1954年には名機と評されるMシリーズのレンジファインダー機「ライカM3」が発売。1976年には初の電子制御式カメラ「ライカR3」が登場し、Rシステムの歴史がスタートする。1989年には初めてオートフォーカス機能を搭載したコンパクトカメラが、1998年には初のデジタルカメラ「ライカ デジルックス」が誕生するなど、100年にわたって世界のカメラ界をリードし続けている。
バルナック型ライカは、① 35mmロールフィルム使用(横巻)で24×36mm(ライカ判)のフィルムフォーマット(Ur Leicaから)、②マガジン(パトローネ)に入った36枚撮りフィルムを順次巻取りながら撮影後、マガジンに巻戻して取り出す(Leica I(A)から)、③ 目の高さにカメラを構え、ファインダーを覗き込んで撮影する(Ur Leicaから)、④横長ボディーの真ん中やや左寄りにレンズがあり両手で保持(Ur Leicaから)、⑤シャッターチャージが同時に行われるボディー右上面のフィルム巻上ノブと右人差指シャッター(Ur Leicaから)、⑥フォーカルプレーンシャッター(Leica I(A)から)、⑦フォーカス連動距離計(Leica IIから)、⑧レンズマウントの標準化(Lマウント)による交換レンズの装着(Leica I(c)から)――など、35mmフィルムカメラの骨格となる原型を備えたものとして画期的なものである。「世の中には2種類のカメラしかない。ライカとライカ以外のカメラだ。」とまでいわれる由縁である。