創業年=1886年
創業者=カール・パウル・ゲルツ
創業国=ドイツ
ゲルツ(C. P. Görz)は、ドイツにかつて存在したカメラ及びレンズのメーカーである。
1886年、カール・パウル・ゲルツ(Carl Paul Görz)がベルリンに設立。元々は数学用学校教材を製造していたが、87年に写真業界に参入。翌88年に「F. A. Hintze」の工房を買収しカメラメーカーとなる。写真用レンズの製造を始めてから、93年に「ドッペルアナスチグマットシリーズⅢ」を発売した。その後、「ドッペルアナスチグマット」の一部を「ダゴール」「セロール」「シントール」と改名した。1925年に不況に伴う売り上げ不振により経営持続が困難となり、イカ、コンテッサ・ネッテル、カール・ツァイスとの間で利益共同体契約が締結された。ドイツ本社はイカ、コンテッサ・ネッテル、エルネマンと合併、26年に新会社「ツァイス・イコン」が設立されることになった。
ゲルツで有名なのは「アンシュッツ」(Anschütz)と呼ばれる、フォールディングプレスカメラである。日本では新聞社に写真部ができた当初の大正年代から報道カメラとして使われ、日本最初の報道用を代表するカメラである。最高速1/1000秒のセルフキャッピングフォーカルプレーンシャッターを装備しており、手札判、キャビネ判、大陸判等のタイプが存在する。1905年にアンシュッツとゲルツの頭を取って「アンゴー」(Ango)と改名された。レンズは主としてドグマーF4.5もしくはダゴールF6.8つき。現行当時はイカの「パルモス」と並び称された名機であった。
その他、ボックスカメラ「ボックステンゴール」(1928年)、二眼レフカメラ「ミニコード」(1951年)などもある。レンズは、ゲルツを代表する2群6枚構成の「ダゴール」(Dagor)をはじめ、「ドグマー」、「ハイペルゴン」など映画用や大判用などのブランドがある。