創業年=1940年代
創業国=ウクライナ
「キエフ」(Kiev )は、ウクライナ(旧ソ連)のカメラブランド名である。ウクライナのアーセナル工場などで製造された。16mmフィルムカメラ、120mmフィルムカメラ、135フィルムカメラなど多様な「キエフ」カメラを揃えている。
第二次大戦末期に、ソ連がカール・ツァイスからカメラ生産設備を購入、その技術指導としてドイツ人スタッフによりカメラを製造させたのが「キエフ」ブランド始まり。ソ連に運ばれたはずの生産設備はドイツ国内にもどされ、戦後しばらくは東ドイツ国内で製造されていた。ウクライナに移設されたのはかなり時間が経ってからという。「キエフ」カメラの多くは輸出され、ソ連にとって貴重な外貨収入となっていた。
日本の16ミリフィルムカメラである初代「ミノルタ16」をベースにソ連独自のカスタマイズをされた「キエフ30」シリーズは、撮影サイズが13×17mm判の25枚撮りで、レンズは全て「Industar-M 23mmF3.5」を装備している。120フィルム使用の「キエフ88」シリーズは、6×6cm判一眼レフカメラである。
135フィルムカメラでは、レンジファインダーカメラ「キエフ」シリーズがある。初期製品はコンタックスそのもので、その後も小改良に留まった。「キエフII」(1947年)、「キエフIII」(1949年) は「コンタックスII」そのものといわれている。「キエフV」(1967年)は、 パララックスを自動補正するブライトフレームファインダーを装備。フィルムはレバー巻き上げ、クランク巻き戻し。露出計が内蔵されたため外見はかなり変化した。内爪マウントは変更されたため従来の内爪マウントレンズは「キエフV」用には使用できず、また「キエフV」用のレンズは従来のボディーには使用できない。
また一眼レフカメラも用意されており、「キエフ10」(1964年)は、 非常に独創的な機構を持つカメラで、ペンタプリズム額部にあるセレン光電池によるシャッタースピード優先AE機構を持つ。1/2〜1/1000秒の金属製ロータリーシャッター、クイックリターンミラーを装備している。1974年の「キエフ15TEE」では、TTLのCdS露出計に改良された。1980年まで製造された。「キエフ15TTL」は1980年~1985年まで製造されている。