中国・江蘇省鎮江出身の陶芸家で、紫茶壺と呼ばれる日本の急須よりも小ぶりな茶器を手掛ける作家として知られ、七大老藝人の一人に挙げられています。
紫砂壺とは、中国茶を飲むには欠かせない道具で、江蘇省南部宜興の名産としても知られ、宜興は紫砂壺の原料となる紫砂泥が採れる場所で、古くから茶壺を作る職人が多くいる街としても知られています。
王寅春は貧しい家庭環境に生まれ、幼い頃は様々な地区を転々としながら生活していました。
13歳の時に趙送亭に師事し、紫砂壺について学び、厳しい修行を重ね、素晴らしい技術を手に入れました。
独立してからは上海の取引先からの依頼を受けるようになると、その評判はたちまち上海中に広がり、同時に「王寅春」という名も広く知れ渡っていきました。
その評判は中国のみならず、日本にも知れ渡り、日本へ向けた作品の制作も行っています。
王寅春の生み出す紫砂壺は、艶を強調し、口蓋に柄を入れるなど新しい技法を駆使したオリジナリティ溢れるものとして、紫砂壺に大きな革新をもたらしており、王寅春の手掛けた紫砂壺は「寅春壺」とも呼ばれていました。
王寅春は、簡単な日用品であった紫砂壺を芸術品の域まで高めた事が高く評価されており、その活躍は現代紫砂の芸術家達にも大きな影響を与えています。