中国・江蘇省蘇州に生まれた書画家・鑑定家です。
上海を中心に活躍しており、金石学者、古書画の大コレクターとしても知られています。
書画家の呉大澂の孫でもあり、祖父・呉大澂に通じる実直な篆書や、堂々とした風格の行書が特徴で、作品においては山水の名手として知られ、伝統の青緑山水を高度に昇華させたと評価されています。
初名を翼燕のち萬といい、字(あざな)は橘逡または東荘といいました。
雅号には倩菴、梅景書屋などがあります。
13歳の頃から祖父・呉大澂に画を学んでおり、書は董其昌を深く研究し、篆刻も独学で技術を高めていきました。
その独学の過程で書画についても研究していたため、のちに鑑定も行うようになります。
そのため、鑑定家という職業を通じて古来からの伝統技術を守り、後世へ伝えることに尽力しています。
上海に出てからは正社書画会を創立し、梅景書屋で画法を教授するなど後進の指導にあたっていました。
また、中国美術家協会上海分会の副主席、上海市文史館の館員、上海中国書法篆刻研究会の会員をつとめるなど活躍を示しています。
また、妻である潘樹春は書家で金石学者である潘祖蔭の姪で、妻もまた文芸や作画に優れた才能をみせており、現存する作品が多い事でも知られています。