哥窯(カヨウ)は南宋時代に浙江省にあった伝説的な青磁窯のことで、宋の五代名窯の一つといわれています。
作品には無数の貫入(ヒビ)が入っているのが最大の特徴です。
このヒビにはよく見ると太いものと細いものの2種類が存在します。
中国では太いヒビを「銀糸」細いヒビを「金糸」と呼んでいます。
これは実際のヒビの色も金色、黒銀色をしているため、こう呼ばれるようになりました。
そして、この作品は兄弟の二人の名工によって作られました。
兄・章生一が作る青磁は評判が高くとても人気がありました。
その技術に嫉妬した弟・章二は兄の秘密を探ろうと、焼成途中の窯を開けてしまいました。
その時に外気が一気に流れこみ、その影響で本来の姿とは違うヒビだらけの磁器が焼き上がりました。
これを見た兄は、怒るどころか新しい発見をしたと喜び、同じものを再現するようになりました。
その斬新な青磁は更に人気を得るようになり、兄は浙江省に窯を築きました。
しかし、この窯の詳しい事が分っておらず、哥窯の「哥」とは「兄」という意味で、章一が兄であることが名前の由来となっています。
また、弟も作陶の腕を上げ、中国最大の青磁を作る竜泉窯を創設しました。