明朝時代末期から清朝時代初期に活躍した陶芸家、茶壺作家です。
茶壺とは中国茶器の一つで、日本で言う急須と同じ役割を持つ道具です。
時大彬はその茶壺の有名な作家として知られ、現在の茶壺の基本を築いた人物として高い評価を受けています。
それはこれまで丸かったデザインを革命的に変化させ、シャープなデザインを起用した事でした。
タタラ作りという技法、筋紋型という器型のデザイン、調砂という原料の紫砂の中に大き目の粒を入れる技法などこれらは全て現在の茶壺の基本となる技術なのです。
これらの技法を使って制作された作品は1000点以上とも言われており、その中でも代表作の「六方壺」は江蘇省都県丁勾鎮の曹家の墓から、「三足円壺」は無錫甘露郷の華家の墓から、「紫砂蓋円壺」は福建省章浦県の廬家墓から出土しており、厳重に保管されています。
また、これ以外の作品に関してはコレクターの手元や博物館などに保管されているため、市場に出回る事が少なく、大変貴重なものとして知られています。
作品には「時大彬」や「大彬」と正楷書で落款されており、これらは始め専門家に頼んで筆で書いてもらい、自分がそれをなぞって刻んでいましたが、回数を重ねていくうちに自ら直接刻めるまでになり、初期の頃の作品と見分けるための判断材料とされています。