定窯(テイヨウ)は宋の時代に活躍した白磁の窯です。
現在では河北省曲陽県澗磁村に窯址があります。
白磁を中心に作っていましたが、黒釉をかけた「黒定」と呼ばれるものや柿釉をかけた「柿定(紅定)」、磁州窯風の「搔落し」なども作っていました。
そして、非常に数は少ないが緑釉をかけた「緑定」と呼ばれるものもあります。
定窯で造られる白磁はその姿形からとても人気がありました。
窯の周辺では白磁に適した白土が採れ、石炭によって短時間で焼成することによってその白さを失う事がありませんでした。
そして、陶器としてはありえない薄さで作ることに成功し、最も薄く作ることができる鉢や椀のみを作りました。
あまりにも薄いので、焼成するときに形が崩れないように逆さにして(伏せて)焼いていました。
その際に接地する縁の部分には釉がついていない状態となるため、焼き上げた後、銀や銅などで覆う覆輪(ふくりん)を施していました。
唐の末期に開かれ、元に時代まで続いた定窯ですが、現存する作品の数が少なく、コレクターの間では貴重な品となっています。