創業年=1881年
創業者=アシール・ディティシャイム
創業地=ドイツ(ラ・ショー・ド・フォン)
弱冠19歳のアシール・ディティシャイムが、1881年にスイスのラ・ショー・ド・フォンに創業した時計メーカーである。1905年に社名を「モバード」と改称した。この語はエスペラントで「たゆまざる前進」を意味する。これは彼の企業哲学そのものである。時代の先駆けとなるデザインの創造性と技術開発で、スイス時計界でも独自の地位を築いている。
湾曲したケースに合わせてムーブを3つに分割した初期の代表モデル「ポリプラン」(1912年)をはじめ、1926年に発売された懐中時計「エメルト」の大ヒットなどで、一躍有名ブランド入りを果たしたが、中でも、代表作なのが腕時計のデザインを極限までシンプル化した「ミュージアム・ウオッチ」。これは1947年にアメリカのデザイナー N・G・ホーウィットによる、太陽を意味する黄金のドット(時針)の動きが地球の自転を表すという時計デザインを、1961年にモバードが具現化したもので、時計史に名を残す傑作と評されている。
クォーツショック以降、ゼニスとの合併や経営危機等を経験するが、1980年代に再建。A・ウォーホールとの「アーティスト」シリーズや近未来フォルムで高貴な美しさを誇る「ビジオ」など、先進的なデザインと技術開発で常に時代を切り開く時計を追求している。