鳥取県出身の染織家で、出雲織という農民工芸の精華として知られています。
出雲織は綿、絹、天蚕素材を生かした風雅な絵絣で、出雲の自然や季節の情景が見え隠れしており、青戸柚美江ならではの作品として高い人気を誇っています。
青戸柚美江は農家の出身で、青戸家に嫁ぎました。
当初は13人の家族を養うために実家の母や祖母と協力して綿を栽培し、意図を紡いで草木で染める出雲織を始めましたが、段々と意匠を凝らすようになり、農民工芸というジャンルを開拓しました。
出雲織の技法は江戸時代には確立されており、青戸柚美江は藍染にこだわりを持ち、藍甕の温度管理に最新の注意を向け、織糸の色合いにも出雲織ならではの微妙な加減を施しています。
「よそで作っている物、よそで買える物は絶対に作らない」という精神で、伝統的な手織りの工程と技法を大切にし、手作りの独創性と優しさ、本物の美しさを追求しながら、現在も意欲的に創作に取り組んでいます。
また、ワイルドシルク(野蚕)を使った作品にも熱心に取り組んでおり、出雲織の新たな可能性を引き出す事に尽力しおり、三男・秀則が後継者としてその伝統と技を受け継いでいます。