昭和後期から平成時代の染織工芸家であり、
重要無形文化財「有識織物」の保持者。
京都市に生まれる。
高校を卒業した後、自然と時間のある時に父の仕事を手伝い、
いつの間
にかこの仕事に面白さを見出してのめり込んで行った。
父は幾度となく「作家として生きるのか、職としての仕事をするのか」
と尋ねられたが、自分では明確な答えは出ずにいた。
しかしある注文主が
「喜多川に頼んだら安心出来る。希望通りのものが出来る」
と言った事で、「職としての道」が決まる。
この道に入った時、父から家にあった数多くの古い糸を渡され
「これを見て植物染料本来の色彩を勉強しなさい。
そして同じ色をこれから主流となる化学染料で出しなさい」と言われた。
10年間来る日も来る日も自然が作り出した色、
歳月の経過で退色した糸を眺め、化学染料を調合し修業した。
おかげで植物染料と同じ色を自在に作り出すことが出来るようになり、
自分の中に『色や色合わせに関する感性』が大きく育って行った。
昭和63年に父の死去のため家業を継承した。
最初の大仕事は平成2年に行われた
現天皇の即位式および大嘗祭で、
両陛下の為に新調された全ての装束の織物を製織した。
その後は秋篠宮や皇太子殿下のご成婚の晴れ着の仕事も行った。
1936年 京都市に生まれる
1954年 父である平朗から従事
1970年 伊勢神宮式遷宮神宝装事「鞍三懸」を作成
1988年 父の死去により家業「俵屋」を継承
1989年 第36回日本伝統工芸展初入選
1993年 皇太子殿下御装束「毅黄丹御袍(夏の科)」等を謹作
1999年 重要無形文化財「有識織物」の保持者に認定
2006年 朝日小綬章を受章