大正琴は名前のとおり、大正元年(1912年)に生まれた琴の一種です。名古屋市に住んでいた明笛の名手であった森田吾郎により、タイプライターにヒントを得て発明されました。
白と黒のボタンのような鍵盤があり、木製の中空の胴に2〜12本の金属弦を張られています。大正琴は鍵盤を左手で押さえて右手の義甲で弾いて演奏します。弦巻きがあり、弦の振動から生まれた音を共鳴させる構造になっています。
大正琴は数字譜に書かれた数字のキーを押しながら弾くだけで、メロディーになる簡単な楽器なので、五線譜の読めない人でも演奏可能となっています。
弦の音が澄んでいて、童謡や演歌、ポピュラーミュージックなど多彩なジャンルの音楽が楽しめます。また音色を変えられる、電子大正琴も存在します。近年では総合教育の一貫として、小・中・高校で大正琴が音楽の授業などでとりあげられることもあるそうです。
大正琴は西洋の音楽が演奏でき、ピアノやバイオリンよりも安価で親しみやすい楽器として、大正~昭和初期、戦後にも何度かブームとなりました。
女性を中心に愛好家が増え、現在では大正琴の愛好者は全国に100万人以上いるとされ、流派の数は大小様々100以上あると言われています。
大正時代から存在する錦正流や大正琴協会に属する琴伝流、日本大正琴協会所属の絃靖会など数多くの大正琴の流派や団体があります。
※大正琴は買取が難しく、メーカーによりごく一部のお品物のみお買取が可能です。