古い時代の地図です。
日本で最初に作成されたと言われている地図は
645年に土地の計測を行った「田図」ですが現存していません。
現存する最古の地図は751年に作成された
「東大寺領近江国水沼村墾田図」で、
後の地図に大きな影響を与えました。
平安時代に入ると「行基図」と呼ばれる
筆で書いた日本地図が作成されるようになり
日本列島の形が一目で分かることから珍重され
江戸時代初期頃まで、数多くの地図が制作されました。
江戸時代中期頃になると西洋から伝来した天文学と測量技術を
「伊能忠敬」が応用し、日本地図が大いに発展しました。
江戸幕府から地図作成の依頼を受けた伊能忠敬は
緯度経度を天体測量で測って基準を決め、
日本全土の海岸沿いという地球一周分もの長さを歩いて
実測で距離を測り、最初の本格的な日本地図を制作しました。
しかし、未完成のうちに伊能忠敬は死去してしまうと
伊能忠敬の測量技術の先生の子である「高橋景安」が継承し
1821年に「大日本沿岸輿地全図」が完成すると
江戸幕府に献上しました。
この地図は全て手描きで作成され、
街角や町村名までも精密に記入されるという
非常に完成度が高いものでした。
大日本沿岸輿地全図は後に「伊能図」と呼ばれるようになり
以後200年もの間、様々な時代に作成され続けました。
地図としての役割はもちろんのこと、芸術性にも優れており
現代の地図コレクターからも高く評価されています。