683年頃に日本で造られたと推測されている銭貨です。
唐の開元通宝を模して造られたといわれています。
「富本」の意味は「国や国民を富(と)ませる本(もと)が貨幣である」という内容の中国の古典から引用されたとみられ、左右に並ぶ7つの星は中国の伝統的な貨幣思想を具現化しているものだと考えられています。
元々は通貨ではなく、副葬品としての「まじない銭」「厭勝銭(ようしょうせん)」だったという説が有力でしたが、奈良県の飛鳥池遺跡から約40枚の富本銭と、失敗作や鋳型、鋳棹などが7世紀後半の地層から発見されたため、日本最古の通貨だという説が現在では有力となってきています。