江戸時代初期の慶長6年に発行された慶長大判の一つで、発行年については諸説ありますが、発行枚数などの詳細は明らかになっていません。
慶長大判は一般流通を前提とした通貨ではなく、恩賞や贈答用を目的として発行されたもので、慶長笹書大判の名称の由来は初期の後藤四郎兵衛家五代徳乗と、その実弟長乗による花押が笹の葉に似た形であるためでした。
表面には「拾両後藤」の文字と花押が墨書きされており、この墨書きが消えてしまった場合は、大判座へ持ち込み銀三匁五分(文政2年以降は金一分)の手数料で書改めを受ける事ができました。
また、上下左右に丸枠桐紋極印がそれぞれ一箇所ずつ、計四箇所打たれ、裏面中央に丸枠桐紋、亀甲桐紋、花押の極印が打たれ、形状は角ばった楕円形も慶長笹書大判の特徴です。
ちなみに慶長小判及び分金は生粋金(純金)、花降銀(純銀)の合金で造られ、銅は不純物程度でしか含まれないのに対し、大判では3%程度の銅が意図的に加えられ、黄金色を演出させ審美性を持たせています。
コレクターの間では、慶長大判の中で一番高い大判として有名で、一千万以上の評価額がついています。