満州出身の昭和~平成時代に活躍する日本画家です。
はじめの頃は時代を反映したポップ&シュールな画風を展開していましたが、日本画の伝統を見直し、その上で日本画の枠を超えた美の表現に挑み続け、伝統的な花鳥風月を現代感覚で流麗な作品に昇華させた作風で「平成琳派」と称されている事で知られています。
国内のみならずフランス、イタリア、中国でも作品を発表し、国内外で高い評価を受け、瀬戸内寂聴の「源治物語」の装幀や挿絵を担当した事で多くのファンを獲得しました。
満州で生まれた石踊達哉は18歳まで鹿児島で育ちました。
画家を志して東京藝術大学で学び、在学中から新制作協会などに出品し、シュールな日本画で注目を集めました。
東京藝術大学を卒業してからは大学院へと進み、日本画の研究を重ねていきます。
パリにアトリエを構え、制作を行ううちに日本画固有の技術と感性を最大限に打ち出す事によって日本画の枠を超えた美しさを得られるのではないかと考え、「花鳥諷詠」の世界へ移行していきました。
こうして、石踊達哉の実力が認められると画壇から離れ、個展を中心に活躍するようになり、画集は異例のベストセラーになるなど高い人気を獲得していきます。
そんな人気絶頂の石踊達哉に世界遺産・金閣寺方丈の杉戸絵及び客殿格天井画の制作依頼が舞い込みます。
樹齢800年という杉の一枚板の戸に8枚の絵を描くという大仕事でしたが、1年かけてすべて一人で描きあげ、更に評価を高めました。
その時の唯一の助言者は妻で、これは一般の人が見る作品なので画家の目線ではなく、違う目線からの意見がとても大切だと考え、取り組んだ事でした。