19世紀のフランスで活躍したアカデミズム絵画を代表する画家で、日本語では「ブーグロー」と表記される事もあります。
その構図や技法はアカデミックなものですが、官能的な裸婦像、可憐な子供の像、憂愁を帯びた若い女性などのモチーフを「甘美」という言葉がぴったりと合う作風で描いており、独特な世界を築いています。
また、17世紀パリに設立されたフランスの美術学校エコール・デ・ボザールで学び、新進美術家に与えられる最高の賞であるローマ賞を受賞しており、公費でイタリアへ留学し、アカデミー会員や教授をつとめるなど当時の画家の絵に描いたようなエリートコースを進んだ画家でした。
古典を尊重し理想を求めて熟練した高度なテクニックを持っていたウィリアム・アドルフ・ブグローは、19世紀後半のフランス美術界で強烈な権力を握っており、印象派の画家たちをサロン出品から落選させた事でも知られています。
そんなエリート画家ウィリアム・アドルフ・ブグローですが当時の人々の好みに合った作風だった事もあり生前は高い評価を得ており、生涯で1200点ほどの作品を残してます。
しかし、20世紀以降の様々な絵画革新運動の勃興とともにその存在が忘れられていき、再評価されるようになったのは20世紀末になってからでした。