千葉県出身の昭和~平成時代に活躍した日本の洋画家です。
50歳を過ぎてから画家としてその名が知られるようになったという異色の画家として知られ、日本全国を周り、数多くの古民家を描き続けました。
その作品は郷愁漂う心温まるタッチで、写実的でありながら際立たせたいモチーフ以外を少しデフォルメして描く事で存在感を表現しており、季節の移り変わりはもちろん、それぞれの土地の気候風土の違いを繊細で写実性に富んだ透明感のある作風で描き分けています。
中でも山梨県の忍野村の風景を描いており、富士山と古民家の対比は実に見事で、人気のモチーフの一つです。
戦時中はシベリアに拘留されたという苦しい経験を持つ林喜市郎ですが、帰国してからは戦争で失われた風景や、日本の経済発展によって失われていく風景を描き残すため、日本全国を周って茅葺屋根の民家を描くようになります。
画家としてまだ無名であった頃、とある画材店の主人と親しくなり、以来二人で写生旅行へでかけたり、画材店の主人の力添えもあり、有名百貨店で個展を開催するまでになりました。
発表された作品は、次から次へと売れる人気作家となり、一水会展などの美術展にも出品を重ね、日本の美術界に貢献し続けました。
集大成として「民家を描く12ヶ月」という自叙伝的な著書も刊行しており、多くのファンの心を掴む画家の一人として挙げる事ができます。