今回いわの美術では、印材をお買取りさせて頂きました。
現在世界中で使用されている印鑑の発祥は、紀元前メソポタミアまで遡ります。
当時使用されていた物は、ボタンのような丸い粘土や石・貝殻などに文字を彫った印鑑で、初めは集落の守護神を祭る神官の保護を受けるための献上品を送った人物を区別する為、献上品にボタン型の印鑑を紐で縛って贈ったとされています。
また、自信の名前を彫った物には神秘の力が宿ると言われていたため、当時の人達は印鑑をお守りとして肌身離さず持ち歩いていました。
その後、ボタン型から円筒型の印鑑が作られます。
円筒型の印鑑は側面に模様が彫られていて、粘土などに押し付け転がすようにして使用しました。
メソポタミアから発祥した印鑑は、エジプトからギリシャ、ローマ、アジア、中国へと伝わりました。
中国で印鑑が使われるようになったのは、殷の時代からと言われ、銅製の印鑑で「殷璽」(いんじ)と呼ばれる身分や地位を表す印鑑が使用されました。
この頃の中国では印鑑は自分の名を印す物ではなく、権力の象徴として大事にされてきた事から、このような使い方がされたそうです。
また、秦の時代には、中国の初代皇帝の始皇帝が印鑑の使用についての官印制度を設け、篆書体(てんしょたい)と呼ばれる印鑑用の文字を定めるなど印鑑の制度が確立されました。
秦の次の時代の漢では、より多くの人々が印鑑を使用するようになり、皇帝からは、信頼と統制の証として諸国の国王に印鑑が授けられます。
それまで銅製の印鑑が多かったのですが、漢の時代にはいってから粘土で封をした上から押す形式の印鑑も出てきました。
この印鑑の形式は、ハリーポッターの映画の中でも出てきますが、シーリングワックスと呼ばれるもので、英国などでは溶かした蝋の上から印鑑を押して封をする方法です。
日本に印鑑が伝わったのは、中国で現在のような上質の紙が作られた後漢時代で、日本では弥生時代にあたります。
それを物語るかのように、日本最古の印鑑は「漢委奴国王」という五文字は彫られた物で福岡県にて発掘されました。
日本最古の印鑑に彫られている漢委奴国王とはどのような意味なのでしょうか。
弥生時代、現在の福岡県福岡市佐野周辺は奴国(なこく)と呼ばれる国でした。
この時代の日本列島には小さな国が100程生まれ国の発展が盛んになっていきましたが、「国を大きくしたい!もっと豊かな暮らしをしたい!」という人間の悪い欲が出てしまい、その結果国の領地を巡り激しい諍いが絶えない時代でもありました。
ですが、奴国は良港の博多湾がある事により中国や韓国との出入りもしやすかった為、中国や韓国の日本よりも進んだ文化を取り入れ発展したのです。
その後奴国の王が中国に遣いを送ったところ、中国の光武帝が大変喜び日本に漢委奴国王と文字を彫った金の印鑑を送った事で奴国の王と正式に認めた証となりました。
この印鑑については古代中国の歴史書の後漢書に記されています。
弥生時代に伝わった印鑑は、その後使用される事はありませんでしたが、飛鳥時代から奈良時代に制定された大宝律令という法律により、天皇の印、太政官の印、その他の用いる諸司印などが作られ、行政処理で使用されたのが日本初とされています。
その後私印(しいん)と呼ばれる物が作られましたが、国家の許可が下りないと使用出来なかった為、初めは会社や学校などで使われ、後に貴族も使用できるようになりました。
平安時代には、印鑑ではなく今でいう拇印のような、手形印と呼ばれる手のひらにインクを付けて押す制度が始まり、江戸時代まで続きます。
平安時代後期の武士が勢力を上げていた時代には、花押と呼ばれる書き判が広まり、遺言書や手紙などに多く使用され、茶人達も自身の気に入った作品に花押を押していました。
この頃から、権力の象徴とされてきた印鑑は、個人を表す印として使用されるようになり、また戦国の武将達は趣向を凝らした印鑑を製作するなど、印を押すだけでなく見栄えにも工夫を施していました。
そして庶民にも印鑑が広まりを見せ始めた明治6年の10月、明治新政府が太政官布告で署名のほかに実印を捺印する制度を定めた事により、印章が正式に市民権を得て10月1日は「印章の日」とされています。
●田黄石
印材の王者と言われ、中国印材三宝の一つにあげられています。
また、最高品質の石の条件とされる「温、潤、細、結、凝、膩」という六徳を持っていて、取れる数もほとんどない事からとても希少な石と言われています。
●鶏血石
名前の通り鶏の首を切った時に出る鮮やかな血の色をした石で、中国印材三宝の一つにあげられています。
名前の由来を聞くと残酷に思えますが、中国で赤は幸運の象徴とされ、地元民を守るための不死鳥が流した血とも言われている事から鶏血石は魔除けとして大事にされてきました。
●芙蓉石
中国福建省寿山にある月洋郷と呼ばれる山脈で取れる石で、中国印材三宝の一つにあげられています。
芙蓉石の名前は、夏を代表しピンクの大輪を咲かせる花の芙蓉が開き始めた姿に似ている事から芙蓉石と名付けられました。
また、パワーストーンのローズクウォーツに成分が似ている事からローズクウォーツの派生の石とも言われ、パワーストーンとしても使用される事もあります。
弊社いわの美術では印材の買取を行っております。
コレクションや遺品、店舗の在庫などご売却お考えの印材などございましたらお気軽にご相談下さい。
また、上記でお話しした田黄石・鶏血石・芙蓉石は非常に高価なお品物なので贋物が多く存在します。
お品物の色合いや大きさによって本物かどうか、どれくらいの査定額がつけられるか分かります。
こちらのお品物をご売却お考えの際はHPのお問い合わせフォームやLINE査定からお写真や大きさ、重さを頂ければお調べが可能です。
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