【三越呉服店 美人画ポスター 杉浦非水】美術品の買取実績一覧

今回お買取したこちらのレトロなポスターは、大変稀少な杉浦非水作の三越呉服店の美人画ポスターです。
杉浦非水は、日本で最初に商業美術という分野を切り拓き、近代グラフィックデザインの父と言われています。

三越は、もともと1673年、日本橋の呉服店「越後屋」としてスタートしましたが、明治期になると経営が悪化し、紆余曲折の末1904年に百貨店として「三越呉服店」を再スタートさせます。
そんな時期、杉浦非水は三越に採用され、三越の図案部員として次々と傑作ポスターを世に送り出します。
当時の三越は呉服店から百貨店への変革を目指しており、アルフォンス・ミュシャに強い影響を受けた杉浦非水はアール・ヌーヴォーなどの洋風表現を取り入れたポスターや広告などを製作し、三越の革新的な宣伝広告の礎を築きました。

数々の三越の美人画ポスターを描いた杉浦非水ですが、中でも日本のデザイン史に燦然と輝くモダンポスターの傑作といわれるのが、大正3年にアール・ヌーヴォー様式を取り入れて描かれた「三越呉服店　春の新柄陳列会」です。
杉浦非水は「三越の非水か、非水の三越か」と言われるほどの名声を得、近代グラフィックデザインの先駆け的存在となりました。
近代の広告デザイン史に布石を打ったともいえる、三越呉服店の美人画ポスターの作家には、杉浦非水のほか、波波伯部金洲、橋口五葉、平岡権八郎などがおり、それらの作品は広告デザインとしてのポスターの域を超え、芸術品として高い評価を得ています。

今回お買取した杉浦非水の三越呉服店の美人画ポスターは、日本髪を結った美しい着物姿の女性が艶やかに描かれておりますが、ポスター右下に印刷を手掛けた三間印刷がプリントされています。
三間印刷は、大正期の美術印刷の権威として知られ、三越呉服店の美人画ポスターを多数手がけています。

買取査定の際は、残念ながら少しポスターに破れなどがみられましたが、大変稀少な杉浦非水の三越呉服店の美人画ポスターであり、高価買取させていただきました。
いわの美術では、古い時代の広告ポスターやレトロな映画ポスターなどの買取も行ってます。