お写真の5色の淡い色合いの美しいレースガラスのコップは、先日お買取させていただきました藤田喬平の作品です。
藤田喬平(物故)は、国内はもとより、「世界のFUJITA」として国際的にも高い評価を得て、2002年にはガラス造形作家で初の文化勲章を受章した現代ガラスの第一人者です。
江戸時代の琳派の装飾様式をガラスに甦らせた画期的な作品「飾筥」が海外でも高い評価をうけ、その飾筥は、夢を入れる箱、別名ドリームボックスとの愛称でも親しまれています。
藤田喬平は、50歳を過ぎてから、ガラス工芸の本場でもあるイタリアのヴェネチアに渡り、現地でヴェネチアガラスの研鑽を重ねたことでも知られます。
以後、毎年ヴェネチアのムラーノ島で、藤田喬平はガラス製作に励み、手吹の技術を用いた色ガラスに金箔を導入した日本の伝統技法である琳派芸術を表現するなど、その個性豊かな造形感覚・色彩感覚溢れるガラス作品づくりに生涯を捧げました。
今回買取した藤田喬平の作品は、手吹ヴェニスのレースガラスのコップ5客です。
レースガラスは、ヴェネツィアン・グラスの代表的な装飾技法で、ルネサンス期の15世紀~16世紀頃は、このレース模様は門外不出の技術とされていました。
お買取した藤田喬平の手吹ヴェニスの作品は、ムラーノ島の伝統と技術と、特有の色彩感覚に溢れるエレガントで繊細なレースガラスの作品です。
淡い5色の色彩のそれぞれに、軽やかなレース模様が艶消しの肌合いと調和しており、1客だけでも美しいですが、5客あわせるとさらに涼を感じる愛らしい作品です。
お買取りの藤田喬平のレースガラスのコップは手吹ガラスですが、藤田喬平は普通のガラス製法のように型を用いず、造形の際、溶けたガラスを鉄のパイプの先に巻き取り、作者の創意と技術によりふくらまし、一点一点製作するという製法です。
したがって、創作品である藤田喬平の手吹ガラスの作品は、形・配色に同一のものがない一点もので、それぞれが美しい個性を放っています。
常に日本の現代ガラス界をリードしてきた藤田喬平の創作作品ひとつひとつは、おおらかで優雅な色と形、力強い存在感を感じさせ、見るものに新鮮な驚きを感じさせます。
いわの美術では、藤田喬平の手吹金彩ガラスの作品の買取を強化しています。
藤田喬平の作品のご売却をご検討でしたら、知識・経験豊富な専門スタッフのいるいわの美術まで、ご連絡ください。一点一点、丁寧に対応致します。