今回、お譲り頂きました写真の作品は、高見澤研究所発行の
浮世絵師 葛飾北斎 『新版 北斎名画撰解説書付』木版画作品です。
1760年(宝暦10年)-1849年(嘉永2年)
絵筆と共に、この時代に90歳という長寿を全うした、江戸時代を代表する浮世絵師です。
代表作はたくさんありますが、『富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』や『北斎漫画』は、
日本国内だけでなく、世界的にも有名で題名を聞いただけでその情景が浮かんでくるかと思います。
☆作品紹介
【凱風快晴】
凱風とは南風のことで、晩夏から初秋の晴れた早朝、旭日を浴びた富士が赤く染まるその瞬間を、
北斎は感動し描いたものと思われます。藍色の空を背景に赤々と燃焼しているかのように染めら
れた富士の山頂には、イワシ雲と、ほんのり雪渓が残っており立体感を表しています。
『赤富士』の呼称で馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
【七橋一覧の不二】
霊峰富士が橋の下にあるという奇景を狙った作品で、場所は下総(現在の千葉県北部と茨城県南部)
周辺の水郷からみた富士であると言われており、大小取り混ぜた"七つの橋"から1度に眺められた
富士景色の意味で、北斎がおもいきり誇張した遠近法を使ってこの構図を描いたと言われています。
【神奈川沖浪裏】
これもまた遠近法を使い、富士を遠方に眺めた景色が描かれています。
先に紹介いたしました『凱風快晴』のほか『山下白雨』と共に"三大役物"と呼ばれており、
日本の浮世絵の代表作として国内外で知られている作品です。
高く波打つ海と、その奥に静かに佇む富士山の構成に、静と動を共存させた北斎の作風を見ること
ができます。
-代表作品-
・富嶽三十六景
・北斎漫画
・千絵の海
・百物語など……
いかがでしたでしょうか?
葛飾北斎の名画全部の作品紹介をするのはとても容易なことではありませんが、生涯にわたって、
何事においても一点に安住することなく、自己改造・自己変革に努め、じつに改号すること30回
以上、また転居すること93回という奇行は、もはや伝説的で新しい表現の追求と、旺盛な想像力の
もとに生み出された数々の作品は、西洋の画家たちにも大きな影響を与え、今なお世界で最も有名
な日本人画家のひとりとして記憶されています。