今回、いわの美術がお買取りしたお品物は吉田翠鳳の掛軸「猛虎図」です。
虎画で有名な大橋翠石に師事して技術を学び、大橋翠石の影響を受けており、多くの動物画の中でも虎画を多く描いています。
国内外で個展を開催しており、多数の受賞経験もある実力ある日本画家です。
師である大橋翠石は「虎の翠石」と呼ばれるほど、本物の虎がまるでそこにいるかのような、躍動感に溢れた画風で知られており、翠石自身が「この毛描き以上の工夫がなければ、翠石の虎画を模しても翠石以上の者はでないであろう」と語る程のものです。
吉田翠鳳は師の教えを忠実に守り、虎図を描いていますが、大橋翠石ほど躍動感やリアルさを感じる事ができないのですが、虎の強さや威厳さ、存在感はしっかりと感じる事のできる写実的な素晴らしい作品が特徴です。
お買取りした猛虎図は絹本と呼ばれる絹地に描いたもので、軸には象牙が使用されている事から、この掛軸はとても良い品として販売されていた事が分かります。
作品自体には目立つようなシミや傷はございませんでしたが、掛軸の表装部分や共箱にシミや剥がれなどが見られたため、少し買取額が下がってしまいました。
良い掛軸は表装の裂や軸、共箱に良い素材を使われていますので、買取の際はこちらも評価対象となっております。