こちらは以前お買取りさせて頂きました掛軸で、猫と牡丹、牡丹の花の傍には蝶が描かれています。
この構成の意味は中国より伝来しました。中国語で発音したとき、猫は「耄(中国語でどちらもマオ)」、蝶は「耋(中国語でどちらもティエ)」と音が通じるため、猫と蝶の組み合わせが「耄耋(ぼうてつ)」という言葉を指すようになります。耄耋は高齢者、老人といった意味を持ち、そこに富貴を意味する牡丹を組み合わせることで富貴長寿を表す吉祥図案と考えられました。
豊かな老後を象徴する猫と蝶、牡丹の描かれた掛軸。以前弊社でお買取りしたこちらの掛軸は江戸時代後期の絵師、狩野栄信(かのうながのぶ)の作品です。
狩野栄信は狩野惟信(かのうこれのぶ)の子として生まれ、木挽町家狩野派8代目の絵師となりました。幼名を英二郎といい、号に伊川、伊川院、幽玄斎、玄賞斎などを持っています。
彼は彩色、水墨共に当時の狩野派画家の中では最も秀でていた画家として知られています。自身の父親からも「画に関しては及ばない」と言わしめたほどであったそうです。
1808年父親の死から家督を継ぎますが、彼の息子である養信(おさのぶ)の残した公用日記では公務をサボって息子に押し付ける面も見ることが出来ます。また茶道をよくし、松平不昧(まつだいらふまい/松平治郷)の恩顧を受けたといわれています。
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