今回、いわの美術がお買取したお品物は墨運堂の古代墨です。
古代墨は正倉院に御物として保存されている墨を墨運堂が復元したもので、墨運堂が現在持てる技術を全て注ぎ込んだ墨として制作されました。
正倉院に御物として保存されている墨は全部で15種類あり、その墨が舟の形をしている事から、当時は墨の数え方に「挺」を使っていました。
墨運堂は奈良県にある墨および書道具メーカーとして知られ、墨作りは1805年から始まりました。
墨屋九兵衛が奈良の餅飯殿において屋号を御坊藤と称し墨の製造を始め、その後、松井墨雲堂、松井墨運堂と名を改め、1950年に株式会社墨運堂となりました。
現在は日本国内に東京、札幌、福岡などに支店を持ち、アメリカのニューヨークには米国墨運堂を設立し、世界進出も果たしています。
そんな墨運堂の古代墨をお買取したのですが、未使用品で、外箱もきれいな状態であったため、高い評価での買取となりました。
3種類の墨がセットになっており、その墨の種類は、油を入れた土器に灯心をともし、蓋についたすすを集め墨した油煙墨、松の木に傷をつけて「松やに」を噴出させ、その部分をそぎ切りにし、その後、小割りにして山の中に建てた障子小屋で燃やし、障子についた煤を採り墨にした松煙墨、そして松煙墨の中でも青みがかった青墨となっています。
1990年に製造されたもので、墨は作りたてのものは水分が多く、発色が良くないと言われており、製造から約20年ほど経ったこちらの古代墨は水分が程よく抜け、使うには良い頃合いでしたので、市場評価も踏まえて買取額を提示させて頂きました。
墨は割れたり、ヒビが入っていたりすると未使用品でもマイナス評価となり、買取額が下がってしまいます。
極端に乾燥した場所に置いたり、強い衝撃を与えると墨は割れてしまう事もございますので、保管の際に注意する事で、売却時に高い評価で買取ってもらう事ができます。