こちらのお写真のお品物は以前、いわの美術がお買取した端渓硯(たんけいけん)という硯です。
端渓硯は中国の硯という事で唐硯に分類されますが、日本でも重宝されている硯の一つで、墨をするために必要な鋒鋩(ほうぼう)と呼ばれる目に見えない細かい凹凸の品質が高いと人気があります。
そのため端渓硯は高値で取引されており、中古市場でも注目を集めているため、高価買取が期待できる硯の一つです。
端渓硯は中国広東省広州にある端渓と呼ばれる谷川から採掘される石を使った硯で、唐代からこの石を使って硯が作られるようになり、宋代で量産されるようになった事でその品質の高さから有名となり、丁度その頃に日本に渡ってきたと言われています。
採掘される坑道によってランク付けがされており、上から順番に老坑、坑仔巌、麻仔坑、宋坑、梅花坑、緑石坑となっています。
中でも老坑、坑仔巌、麻子坑は年々採掘される量が減ってきており、現在では採掘が中止され、老坑、坑仔巌、麻子坑の端渓硯は価格が高騰してきています。
今回、お買取した端渓硯は海や丘のない硯板(中国では板硯)に仕上げられているものでした。
硯板に仕上げる場合の主な理由として、「刻するのが惜しまれる逸材」という場合で、端渓硯は素晴らしい硯という評価がありますので、お買取した端渓硯も石の模様をいかすように最小限の彫刻だけで仕上げられていました。
使用感はだいぶ感じられましたが、中古市場でも人気の端渓硯という事でしたので、高価買取となりました。