今回いわの美術がお買取致しましたのは、有職御人形司 伊東久重の手掛けた市松人形です。
伊東家は、江戸時代より、御所人形制作を家業とし、初代が後桜町天皇から「有職御人形司 伊東久重」の名を拝領して以来、朝廷の御用を代々承ってきた家柄です。
御所人形は観賞用の人形として江戸時代中期に大成され、宮中の慶事や出産、結婚など、様々な祝事の際に飾られてきた由緒ある人形ですが、宮中御用の御所人形司であった京都の伊東家は、宮中の庇護のもとに代を重ねてきました。
しかし、明治期に入り、御所人形を下賜される習わしがなくなったことが転機となり、御所人形だけでなく、他の人形にも活路を見い出し、雛人形や五月人形、市松人形も手掛けるようになりました。
伊東久重の人形は、代々受け継がれる、手間と時間のかかる「木彫法」によるもので、素材には30年以上も自然乾燥させた桐の木が用いられています。
また、最大の特徴でもある人形の白い肌の光沢は、細かな部分まで彫刻した桐の木地に胡粉を、天日に乾かしながら50回ほども塗り重ね、磨くことによって出る独特のもので、完成までには1年近い時間を要するといいます。
今回お買取した伊東久重の市松人形は、このような手間と時間をかけて完成された芸術性の高い作品です。
お買取した市松人形には、伊藤家の脈々と受け継がれる御所人形の技法が用いられ、透き通るような白い肌の美しい市松人形です。
胡粉の白さ、きめの細かさ艶やかさは際立っており、顔の表情にも上品さが漂っています。
買取した伊東久重の市松人形の一点を見つめる秀逸な眼差しは特に良く出来ており、肌の白さと眼差し、口元に入った鮮やかな紅とのバランスがきりりとした印象です。また、市松人形の手も、細部にわたって美しくつくられています。人形ケースとあわせて高価買取にてお譲りいただきました。
いわの美術では、市松人形の買取にも力を入れております。 市松人形は作り手によって、それぞれ表情が異なり個性がありますが、買取査定では、制作された時代や作家が制作したものなどによって評価が変わってきます。
三つ折れ人形という足の付け根、膝、足首が可動式になった市松人形や、江戸時代などの古い市松人形は、骨董的価値もあり高価買取も期待できます。
いわの美術では市松人形などの日本人形を熟知した買取専門スタッフがしっかりと価値を見出して、お客様にご満足いただける買取となるよう努めておりますので、ご売却・ご処分予定の市松人形がございましたら、是非一度お問い合わせください。