今回、いわの美術がご紹介するお品物は伊志良光(いしらあきら)の珈琲碗皿6客です。
伊志良光は端正なフォルムに高度な染付、釉裏紅などを施した作品で知られており、食器を中心に酒器や花器など日常使いの器作りに力を注いでいます。
今回お買取した作品は釉裏紅ではありませんが、釉裏紅は九谷焼で有名な赤絵とは違い、渋い梅色のような発色が主張しすぎず、趣のある雰囲気を醸し出しています。
また、絶妙な筆使いもはっきりと感じる事ができるのも染付、釉裏紅ならではだと思います。
この珈琲碗皿6客の作者である伊志良光ですが、神奈川県の鎌倉に生まれたという事もあり、幼い頃から様々な芸術品や伝統的な造形に親しみ育ちました。
陶芸家になるために東京芸術大学工芸科陶芸講座を受け、藤本能道、浅野陽に師事し、卒業後は東京芸術大学陶芸講座副手として後進の指導にあたります。
もちろん、自身の制作活動も行っており、日本伝統工芸展に出品・入選を続けやがて日本工芸会正会員として認められ、活躍を見せます。
こういった事から中古市場でも評価は高く、今回のお買取では伊志良光がよく手掛けるモチーフの一つ、植物のブドウが染付で描かれた和と洋が融合したような素敵な作品でした。
6客揃って、目立つ傷、欠け、ヒビなどがなかった事が高価買取へと繋がりました。
もし、共箱がご一緒でしたら評価はもう少し上がり、買取額も高くなりました。